全国交通系ICカードからの離脱を決めた熊本県内の路線バス=熊本市中央区で2024年5月25日、中村敦茂撮影 熊本県内でバスや電車を運行する交通5社は27日、「Suica(スイカ)」や「ICOCA(イコカ)」「はやかけん」など全国交通系ICカード(全10種)による運賃決済を年内にも取りやめると発表した。機器更新費がかさむことが主な理由。全国交通系ICカードの決済システムをいったん導入しながら離脱するのは全国初という。代わりのキャッシュレス決済手段を用意するが、利便性の低下も予想される。 クレカやタッチ決済なら経費半減 5社はいずれも熊本市に本社を置く、九州産交バス▽産交バス▽熊本電気鉄道▽熊本バス▽熊本都市バス。 5社は2016年に全国交通系ICカードの決済システムを導入。保守契約が25年3月末で切れ、更新には計約900台あるバスに搭載される機器を入れ替える必要があるなど、5社全体で計12億
近畿大は26日、ニホンウナギの完全養殖に成功したと発表した。完全養殖は、卵から育てたウナギの卵と精子を使って2世代目を人工ふ化させる技術で、水産研究・教育機構(旧水産総合研究センター)が2010年に世界で初めて成功させた。大学では初の成果という。 近大によると、和歌山県那智勝浦町にある水産研究所の実験場で7月5日、養殖した親ウナギから受精卵を採取し、同6日にふ化に成功。8月3、24日にもふ化を確認した。今月18日時点で計約600匹の仔魚(しぎょ)(赤ちゃん)が育っているという。 近大はこれまでクロマグロやマダイなどの養殖技術開発に取り組んできた。東京都内で記者会見した升間主計・水産研究所長は「仔魚を育てる独自技術の開発にもトライし、養殖技術全体のレベルアップに貢献したい」と語った。
1米ドルが140円台後半という、極端な円安が続く。世界銀行算定の購買力平価ベースのレート(物価が同じになるように計算したレート)では、1米ドルはおよそ100円なので、円安は5割近くも行き過ぎだ。 円安は海外の商品を高くする。おかげで海外旅行は、すっかり高根の花だ。しかし、石油や石炭、天然ガスなど化石燃料の輸入は、旅行とは違ってやめるわけにはいかない。 東京電力福島第1原発事故が起きた前年の2010年と22年の財務省貿易統計の比較で、日本の化石燃料輸入量は4億4500万トンから3億9800万トンと約1割減った。再生可能エネルギーの増加に加え、低燃費車の普及などの省エネが、原発停止分をカバーしたばかりか、燃料使用の総量まで減らした。
新型コロナワクチンのコールセンター業務を巡り、委託先でオペレーターの水増し報告があったことを説明する大阪府吹田市の職員=吹田市役所で2月10日、三角真理撮影 新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り、大阪府枚方市など3市からコールセンター業務を受託していた人材派遣会社「パソナ」(東京都)は10日、再委託先の企業がオペレーターの人数が足りないのに虚偽報告し、委託料計約10億8000万円分を過大請求していたと発表した。 市民からは「電話がつながりにくい」などの苦情が寄せられており、パソナは「管理不行き届きにより、市民の皆様に多大なご迷惑をおかけした」と謝罪。3市に返還した上で、再委託先の「エテル」(大阪市)に損害賠償を求めるとしている。 業務を委託していたのは枚方市、同府吹田市、兵庫県西宮市。パソナによると、必要なオペレーター数を3市と定期的に確認し、エテルに再委託していた。
子育て交流サロン「赤ちゃん天国」を視察する岸田文雄首相(右)=東京都中央区の区立新川児童館で2022年5月12日午前9時4分(代表撮影) 2021年の合計特殊出生率が「1・30」と、1947年の統計開始以来、過去4番目の低さとなった。所得が増えないことから将来に希望が持てないことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大が低下に拍車をかけた。子どもを持つことに踏み出せない状況が続き、人口減少のスピードが加速化している。【石田奈津子、寺町六花】 3日に公表された合計特殊出生率(1・30)と出生数(81万1604人)を、国立社会保障・人口問題研究所が17年に公表している人口の将来推計(中位シナリオ)と比べると、少子化のスピードが想定以上だということが明らかになる。将来推計では21年時点の出生率は1・40で出生数は86万9000人と今回の数値を上回る。約81万人という出生数は27年の推計と同等の水準で
バブル崩壊後、約30年にわたりほとんど賃金が増えていない日本。その要因の一つとして、日本の雇用制度や賃金体系の問題を挙げる声は多い。労働市場や労使関係などに詳しい中村天江・連合総研主幹研究員に聞いた。 人手不足でも上がらぬ賃金 ――日本の賃金はこの30年増えていません。 ◆経済協力開発機構(OECD)のデータによると、アメリカや英国、カナダなど主要国はこの間、軒並み賃金が増加していますが、日本はほとんど増えず横ばいです。1990年代後半から2000年代前半にかけて多くの企業が存続の危機に直面し、人件費の見直しやリストラを進め賃金を抑制したのが要因です。低賃金で働く非正規雇用も増えました。人件費の抑制やリストラは、企業にとってはやむを得ない面もあったかもしれません。しかし、何らかのタイミングで見直すべきだったと考えています。 新型コロナウイルスの感染拡大が始まる前の19年時点で、ハローワーク
野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さん=東京都千代田区で2020年3月11日、内藤絵美撮影 ウクライナに侵攻したロシアの経済が揺らいでいる。欧米が主導する経済制裁を受け、政府の借金である国債の利払いなどができなくなるデフォルト(債務不履行)が現実味を帯びてきた。だが、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんは「世界経済にとって、ロシアのデフォルトよりさらに悪いシナリオがある」と語る。どういうことなのか、詳しく聞いた。 世界経済への影響は大きくない ――ロシアがデフォルトに陥る可能性が指摘されています。 ◆デフォルトとは、国債などの利払いや元本の返済が期限通りに行われない状態を指します。ロシアは3月16日以降に国債の利払い期限が相次ぎます。十分な外貨準備を持ち、財務面での返済能力は相応にあるものの、日米欧によって国際決済網からの排除や外貨準備の凍結などの経済
公的年金の被保険者(加入者)に交付する年金手帳が来年度に廃止される。年金記録の証明書として大切に保管するよう求められ「将来年金を受け取るための重要書類」と考える人は多いだろう。だが、その本来の役割はかなり以前から次第に薄れていた。なぜだろうか。年金手帳の役割を公的年金制度の経緯とともに振り返ってみよう。 「基礎年金番号」までの道のり 年金手帳は手のひらサイズの小冊子で、国民年金や厚生年金の被保険者であることを証明する。1974~96年に発行されたものは表紙がオレンジ色、97年からは青色だ。表紙の色で世代がわかり、目安として60代後半から40代半ばはオレンジ色、青色はそれより若い世代となる。 日本の公的年金は61年に国民皆年金になり、勤め人が加入する厚生年金に加え、自営業者らが加入する国民年金ができた。しかし、制度は別で、加入記録もそれぞれ独立した番号体系で管理していた。 当時は、国民年金は
台湾海峡に面する中国南部・福建省には、「一国両制 統一中国」(1国2制度によって中国を統一する)と記された巨大看板がある=2020年11月2日、河津啓介撮影 台湾海峡の周辺で中国や米国が軍事活動を活発化させ、偶発的な衝突への懸念も出始めている。4月の日米首脳会談や5月5日に閉幕した主要7カ国(G7)外相会合の共同声明では、台湾統一を目指す中国を念頭に、台湾海峡の「平和と安定の重要性」を明記した。台湾海峡で今、何が起きているのか。中国軍が台湾の離島に侵攻する可能性は? 日本と台湾の軍事専門家2人に話を聞いた。1回目は、防衛省防衛研究所の門間理良・地域研究部長の分析を紹介する。【台北・岡村崇】 同盟国との協力を重視する米国 --現在の台湾海峡周辺の状況をどうみていますか。 ◆中国の軍事力は過去20年で圧倒的に強くなりました。1996年の台湾海峡危機の際は、中国軍が台湾海峡にミサイルを発射したの
選挙制度見直しに関する記者会見で記者の質問に耳を傾ける林鄭月娥行政長官=香港で2021年3月30日、AP 中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会は30日、香港の選挙制度見直しに関する議案を全会一致で可決した。香港政府トップの行政長官と立法会(議会)議員の選挙で民主派を徹底排除する内容で、次回の選挙から導入される見通し。中国の習近平指導部による香港への統制強化は区切りを迎え、香港の高度な自治を認めた「1国2制度」は事実上、終わりを告げた形だ。 全人代常務委は30日、2日間の日程を終えた。習指導部は、2019年に香港で政府への抗議デモが激化したことを受け、20年6月に香港国家安全維持法(国安法)を施行。香港の治安維持機能を手中に収め、民主派の活動を徹底的に取り締まった。今回の制度見直しで、当局が愛国者と認めた人物しか選挙に出馬できなくなり、政治も完全に統制下に置いたといえる。
40代以下の聴力低下は、携帯音楽プレーヤー利用の影響が指摘されている=東京都千代田区で2021年3月25日午後2時40分ごろ、大場あい撮影 40代以下の日本人の聴力は、2000年以降に低下が進んでいることが世界最大規模の聴力データ解析で分かったと、慶応大などの研究チームが英医学誌ランセット・リージョナル・ヘルスで発表した。一般的に聴力は加齢に伴って低下するが、約20年間で最大20歳の老化に相当するほど低下していた。 世界保健機関(WHO)は、「安全でない音楽鑑賞の習慣により、難聴のリスクにさらされている」と、携帯音楽プレーヤーの普及による聴力への悪影響に警鐘を鳴らしているが、若年層の聴力低下の実態はこれまで不明だった。 研究チームは、国立病院機構東京医療センター(東京都目黒区)で00~20年に得られた約3万人分の聴力データのうち、耳の病気で聴力が低下していた人を除く10~99歳の1万681
ブラジルで新型コロナウイルス流行の第2波が深刻化している。最近は1日あたり2000人近い死者が出ており、医療体制は危機的状況にある。ブラジル起源の変異株が猛威を振るっているとみられ、世界保健機関(WHO)は各国に感染拡大が波及しかねないとの強い懸念を示している。 「ブラジルが真剣にならなければ、近隣諸国やそれ以外の地域に影響を及ぼすだろう」。WHOのテドロス事務局長は5日の記者会見でそう強調し、感染防止策の徹底を求めた。テドロス氏の念頭にあるのは、従来株より感染力が強いとみられるブラジル北部アマゾナス州由来の変異株だ。 変異株は1月、同州から日本へ渡航した新型コロナ感染者から羽田空港の検疫で見つかった。同州で2020年末に出現したと考えられ、21年1月には同州の感染者の9割から検出された。すでに全土で猛威を振るっている可能性が高く、欧米諸国など20カ国以上でも確認された。各国はブラジルから
13日深夜に福島県と宮城県で震度6強を記録した地震をめぐっては、またも差別的な発言やデマ、不確実な情報がツイッターやユーチューブなどで飛び交った。災害のたびに同じような現象は起きている。かつて関東大震災ではデマがきっかけで朝鮮半島出身者らへの虐殺も起きた。しかし、当時に比べ、今は情報の広がるスピードが桁違いに速い。そうした悪質な情報にどう対処したらいいのか。【大迫麻記子/統合デジタル取材センター】
東京医科歯科大は29日、同大病院の入院患者3人から、国内で市中感染が確認されていなかった海外由来の新型コロナウイルス変異株を確認したと発表した。従来よりも感染力が強いとされる英国由来の変異株とは異なるが、多様な変異株が市中に流入することで、国内の流行に影響を与える可能性もあるという。 3人の検体は2020年11~12月に採取。同大によると、確認された変異株は3種類で、英国由来だが、世界各地で感染が拡大している変異株とは遺伝子配列、性質が異なる。3種類は欧米などでも確認され、日本でも空港検疫では見つかっていた。 3人とも英国の滞在歴はなく、市中感染したとみられる。うち2人は重症化したが、変異株との関連は不明という。
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