ドイツのアーティスト、サイモン・メナーのフォトシリーズ「カモフラージュ」には、すべてドイツ軍のスナイパーが潜んでいる。このプロジェクトはさながら、死の「ウォーリーを探せ」だ。 しかし、スナイパーを見つける難しさよりもメナーが表現したいのは、「恐怖」「テロ」「監視」などといったものが、もはや現代の生活の一部をなしていることだとメナーは言う。 「目に見えない存在から常に怯えていなければならない、という概念について遊んでいるんだ」 オリンピックに攻撃を仕掛けようとするテロリストであれ、通話記録に手を出すアメリカの諜報機関であれ、現代社会における脅威は、まさにスナイパーのように目に見えないものだ、と彼は主張する。銃を持った人物と諜報機関とはまったく別物であることはメナーも認めている。それでもこのような作品をつくったのは、抽象的で込み入ったアイデアを表現できる、視覚的に明確なテーマを求めたからだ。