花火は夏だけのものじゃない。 2月になり寒さはますます酷くなっている。東京へと向かう電車を待ちながら、マフラーに顔をうずめて寒さに耐える。 風がヒュッと吹くたびに体をこわばらせ、こめかみの辺りがズキンと締め付けられる。冬は毎日が憂鬱だ。冬なんて、早く終わってしまえばいいのに。 寒い… つらい… 帰りたい…(まだ朝だけど) そんな憂鬱な日々を過ごしていた。 だけど今日は少し違っている。いつもと同じ駅だけれど、いつもと反対側のホームに立っている。東京とは反対の、東北へと向かう電車を待っていた。 東京よりもずっと寒い町に行く予定なのに、気持ちはずいぶんと暖かった。 これは福島県のとある町で行われた「雪景色に咲く花火の祭り」のお話です。 関東から雪の世界へ ホームへと滑り込んできた特急スペーシアの席に座るなり、缶チューハイを取り出した。親指を引っ掛けてフタを開けると、プシュッと弾ける音が胸に響く。