読書に付箋は欠かせない。知らなかったこと、驚いたところ、心を動かされた箇所に貼っていく。内容に引き込まれるほどその数は増える。この本にもびっしり付箋がついた。初めて知ることがあまりに多かったからだ。初めて知ったこと。それは、在日ムスリムの素顔である。 世界には19億人を超えるムスリムがいるという。このうち在日ムスリムは推計18万3千人(2019年末時点)。世界のムスリム人口からすれば決して多くはない。身近にムスリムの友人がいる日本人はそれほど多くないだろう。 他方、ネットにはイスラム教に対する偏ったイメージが溢れている。厳しい戒律、極端な女性蔑視、過激派による自爆テロ。「絶対にわかりあえない怖い人々」として彼らは扱われている。 リアルな姿を知らないにもかかわらず、良くない印象だけは刷り込まれている。ムスリムに対する世間の認識はそんなレベルではないだろうか。 著者は国内外のマイノリティーのコ