量子論や分子生物学などの先端科学は、専門用語を理解し、わずかな時間、記憶するだけでも素人にとっては難しいものだ。中学高校で学習したはずの絶対温度やプラズマという言葉ですら、あやふやにしか覚えていないことが多い。そこで科学者たちは模式図やグラフ、写真を使って必死に説明しようと試みる。結果的に科学読み物は、小説やビジネス書などと比べるとはるかに絵本のような体裁になっていくのだ。 本書はその好例である。実に丁寧に、光とは何か、惑星はなぜ惑う星と呼ばれるのか、ブラックホールの正体とは、宇宙の年齢は何歳か…などについて、大人が子供から聞かれたときに適切に答えることができるよう、分かりやすい言葉と豊富な図版で説明を試みている。 それでも、科学書を読み進めることは難しい。そもそも日常生活に全く関係のない宇宙論などを読む理由が見つからないのだ。そこで本書はなぜ宇宙は暗いのか、という疑問を読者に投げて、読む
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