昨年夏、チベットの精神的指導者、ダライ・ラマはコンピューターのセキュリティー専門家二人をインドのダラムサラにある自身の事務室に招いた。訪れたのはカナダ・トロント大のグレッグ・ウォルトン氏と英ケンブリッジ大のシシル・ナガラジャ氏。二人はダライ・ラマ側から「(このパソコンを使用した)通話が途中で切れるようで、誰かが(内容を)盗み見ているようだ」という話を聞いた。 トロント大に戻ったウォルトン氏は持ち帰ったパソコンのファイルを同僚と共に調べたが、数カ月かけてもいかなる手掛かりも発見できなかった。しかし、3月初めになって研究員の一人、ナト・ビルニーブ氏がおかしな点を見つけた。ファイル内の疑わしいプログラム言語が中国・海南島にあるコンピューターとつながっているのを発見したのだ。 その後、研究チームはサイバースパイがどのように情報を盗んでいったかを調べた。今月12日に侵入してきたスパイは研究チーム