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ブックマーク / mmpolo.hatenadiary.com (146)

  • 鈴木江理子・児玉晃一編著『入管問題とは何か』の書評 - mmpoloの日記

    鈴木江理子・児玉晃一編著『入管問題とは何か』(明石書店)を中島京子が書評している(毎日新聞2022年9月17日付)。その内容が凄まじい。 ……いったい「入管問題」の質はなんなのか。 編者の一人の鈴木江理子は、「暴力性」と書く。 「収監の可否判断に司法は関与せず、入管職員の裁量によって、無期限の習慣が可能である」施設。その対象になるのが「外国人」で「日にいるべきではない不法な人間」とされるために、「関係者や監督者の責任が追及されることなく、やり過ごされて」きた。 3章の高橋徹による「入管で何が起きていたのか」の記述は、読む者の胸を抉る。たった20年ほど前の入管の人権侵害ぶりは凄まじい。文字通り、殴る蹴るの暴力が日常化し、職員による被収容者のレイプまで行われていた。 4章ではクルド難民の支援に携わる周香織が、自らの活動を振り返る。国連難民高等弁務官事務所が正式に認めた「マンデート難民」であ

    鈴木江理子・児玉晃一編著『入管問題とは何か』の書評 - mmpoloの日記
  • 『チコちゃんに叱られる』の解答へのささいな疑義 - mmpoloの日記

    「なんでお母さんのことを先生って呼んじゃうの?」という質問に対して、チコちゃんの答えは「心の辞書で隣に並んだ言葉だから」というものだった。 東京大学の広瀬友紀教授が「人は自分が覚えた言葉を脳の中に記憶し、使えるように整理していきます。この辞書のことを心的辞書(心の中の辞書)と呼びます。この心的辞書ではたまに取り出し間違いが起こります。その原因として、「音が似ている」「概念的に似ている」などがあります。子どもにとっては、「頼りになる大人」「面倒を見てくれる」「教えてくれる」といった概念が似ているので間違いやすい」と答えていた。 私も娘が小さいときに、娘を私の弟の幼い頃の呼び名で呼んでしまったり、娘を飼っていたの名前で呼んでしまったことがある。逆にを娘の名前で呼んだりしてしまったこともあった。これらを広瀬教授のように概念的に似ていると捉えることもできるが、私は「関係が似ている」と捉えていた

    『チコちゃんに叱られる』の解答へのささいな疑義 - mmpoloの日記
  • 門田秀雄さん亡くなる - mmpoloの日記

    門田秀雄さんが亡くなったという。2月20日に群馬県の施設でだった。門田さんは美術評論家で美術作家だった。美術批評誌『構造』を一人で主宰・発行していた。最後に発行したのは2003年6月の第14号だった。2007年にまだ次の第15号を発行すると言われていた。 個展も何度か拝見した。しばしば倒立した人や木を描いていた。普通に描いた絵を引っ繰り返したように見えたが、倒立した形で描いているのだと言われた。大きな作品を展示している横の壁にスケッチブックから破り取ったようなデッサンが貼られていた。街の建物を描いたようだが、何かごちゃごちゃしていた。これは何ですかと訊くと、道を歩きながら前方の風景を描いているんだとのこと。歩きながら変化する風景を1枚の紙に重ねて描いている。空間が重層している。これ、面白そうですね、作品にしたらどうですかと言うと、いや、それを完成する自信はないよと言われた。 ギャラリー川船

    門田秀雄さん亡くなる - mmpoloの日記
  • 映画『ドライブ・マイ・カー』の運転技術についての専門家の評価 - mmpoloの日記

    映画『ドライブ・マイ・カー』は、臨時に雇った運転手の運転技術が優れているので、主人公の映画監督が彼女に心を許していくという設定だった。それで、彼女(運転手)の運転技術当に優れているのか、私の知人の自動車会社の技術者(新車開発エンジニア)であるCさんに映画をみてもらって感想を送ってもらった。Cさんの許可を得てここに紹介する。(Cさんは普段きわめて辛口の運転評価や、車の評価をしている)。 以下、Cさんの評。 ・ 結論から言えば、「これ見よがしに運転スキルを見せる訳ではないが、随所にスムーズな運転が見られた」。 『ドライブ・マイ・カー』はワイルドスピードの様な映画と違い、運転を語ってはいますが、映画の中でそれを見せるシーンはほとんどありません。 でも、ドライバー役の女優さんは相当練習したんだろうなと思えるシーンはありました。 まず、発進がスムーズです。 街中の交差点で信号が青に変わってスター

    映画『ドライブ・マイ・カー』の運転技術についての専門家の評価 - mmpoloの日記
  • 千葉成夫『増補 現代美術逸脱史』を読む - mmpoloの日記

    千葉成夫『増補 現代美術逸脱史』(ちくま学芸文庫)を読む。副題が「1945~1985」とあり、戦後の日現代美術を総括したもの。さらに「増補」とあるように、その後の展開を100ページ充てて紹介している。 「逸脱史」と題しているように、「画壇」については、純文学に対する大衆文学だ、工芸に過ぎないと切り捨てている。画壇というのは主流というのか、公募展の作家たちを言うのか、ここに取り上げられていない作家たちだ。 まず、書はとても面白く教えられることが多かった。千葉の主張は、戦後の日美術は、具体グループ、読売アンデパンダンの後期に参加した反芸術、日概念派、もの派、美共闘の流れを言い、それについて詳しく分析する。 具体美術協会は1955年に始まった。ここを日現代美術の始点とする。しかし、まもなく具体がアンフォルメルの影響下に入ったことで、頓挫したとする。「アンフォルメルというのはヨーロッパ、

    千葉成夫『増補 現代美術逸脱史』を読む - mmpoloの日記
  • 成り上がり者の好きな前衛芸術 - mmpoloの日記

    昨日紹介した「商品」を作り続ける作家たちに関連して、10年ほど前に紹介した辻井喬・上野千鶴子「ポスト消費社会のゆくえ」(文春新書)の一部を再録する。辻井喬は西部デパート・セゾングループの創立者堤清二の文学作品を発表するときのペンネーム。 辻井が始めた西武美術館(のちのセゾン美術館)の開館記念展は、抽象芸術、立体造形、コンセプチュアル・アート、スーパー・リアリズムなどの作家たちの作品を概観するものだったと紹介される。 上野  ピエール・ブルデュー(1930-2002年)の『ディスタンクシオン−社会的判断力批判』(藤原書店・1990年)はお読みになりましたか? 彼はそのなかで、「前衛芸術はどのような人によって選好されるか」という問いを立てています。前衛芸術は評価の定まらないものです。評価が定まったものではなくて、定まらないものに対して価値を見出すのは成り上がりの新興ブルジョワジーであると、明確

    成り上がり者の好きな前衛芸術 - mmpoloの日記
  • 版画偽造事件のその後 - mmpoloの日記

    読売新聞に「偽版画100点超押収」「大量流通 押印・紙質異なる」「巨匠の作品多すぎる」「業界団体 大阪の画商追及」との記事が1面と27面に載った(2021年5月23日付)。 1面 27面 27面つづき 昨年12月に大阪の画商から多数の版画が押収され、平山郁夫、東山魁夷、片岡球子らの精巧な贋作であることが発表されていたが、警視庁と民間の鑑定機関「東美鑑定評価機構」がそれぞれ進めている鑑定で、作家4人の計100点を超える版画が贋作と確認されたという。 贋作は大阪の画商が奈良県の版画工房の職人に依頼して制作したものだった。真作の版画は1作品あたり100~250点ほど刷られており、1点数十万円~数百万円で取引されてきた。この真作とは何か。 実はこれらの「真作」版画とは、平山郁夫など作家の原画を元に、遺族など著作権者から職人に依頼し、版画工房で原画から版を描き起こし、それを刷った作品に作家が存命なら

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  • 加藤典洋『戦後入門』を読む - mmpoloの日記

    加藤典洋『戦後入門』(ちくま新書)を読む。カバーの袖の惹句から、 日ばかりが、いまだ「戦後」を終わらせられないのはなぜか。この国を呪縛する「対米従属」や「ねじれ」の問題は、どこに起源があり、どうすれば解消できるのか――。世界大戦の意味を喝破し、原子爆弾と無条件降伏の関係を明らかにすることで、敗戦国日がかかえた矛盾の質が浮き彫りになる。憲憲法9条の平和原則をさらに強化することにより、戦後問題を一挙に突破する行程を示す決定的論考。…… 日は先の戦争で負け続け、制海権も制空権も失い、東京を始め空襲によって大都市は壊滅させられ、あげくに2度の原子爆弾で徹底的に破壊された。もう反撃力は残っていなかった。降伏は必然だった。 先に半藤一利『日の一番長い日』を読んで、日の指導層の内実を知った。書で加藤は連合国側の事情を分析する。圧倒的に攻勢だったアメリカはさらに原子爆弾実験を成功させる。アメ

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  • 小川敦生『美術の経済』を読む - mmpoloの日記

    小川敦生『美術の経済』(インプレス)を読む。小川は多摩美大学教授、美術ジャーナリスト、元『日経アート』編集長。 書は7つの章からなり、「1枚の絵から見えてくる経済の成り立ち」「浮世絵に見る商業アート」「時代とともに変わる美術の価値観」「「パトロンとしての美術館」「贋作と鑑定」「美術作品の流動性を支える仕組み」「これからの美術の経済」となっている。 いずれも美術の経済的な側面に関する疑問に答えてくれている。 「美術館の予算はいくら?」との見出しを立て、「大阪の国立国際美術館は2018年度に、スイスの彫刻家、アルベルト・ジャコメッティの《ヤナイハラI》を、約16億5000万円で購入した」と書いている。ヤナイハラは日の哲学者矢内原伊作をモデルにした作品だ。国立美術館4館(東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館)の同年度の購入は点数にして303点、金額の合計は4

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  • 常盤新平『遠いアメリカ』を読む - mmpoloの日記

    常盤新平『遠いアメリカ』(講談社文庫)を読む。先に読んだ『片隅の人たち』のいわば前編のような連作短編集。「遠いアメリカ」「アル・カポネの父たち」「おふくろとアップル・パイ」「黄色のサマー・ドレス」の4作からなっている。登場人物は共通で翻訳者を志している重吉とその恋人椙枝が中心になる。 重吉は早稲田大学の大学院に籍を置いているがほとんど出席していない。早稲田のアパートでアメリカのペーパーバックに埋もれている。ペーパーバックや雑誌を買いに渋谷の百軒店の奥にある古屋をしょっちゅう訪ねている。店のおじさんとも親しくなり喫茶店に誘われてコーヒーをおごってもらったりしている。 椙枝は俳優座養成所を出て小さな劇団に所属し、女優の卵として定期的に子供向けの芝居の地方公演に駆り出されている。椙枝を紹介してくれた翻訳者が重吉を可愛がって面倒をみてくれている。 重吉も椙枝もティッシュペーパーがなにか分からない

    常盤新平『遠いアメリカ』を読む - mmpoloの日記
  • 蔭山宏『カール・シュミット』を読む - mmpoloの日記

    蔭山宏『カール・シュミット』(中公新書)を読む。副題が「ナチスと例外状況の政治学」というもの。ナチスの独裁思想を擁護したワイマール期の最右翼の政治学者。ナチの御用学者。その独裁の政治思想ってどんなものなのだろう? シュミットは例外状態を重視する。政治的な例外状態とは、現行の法秩序が停止され、そこに無制限の権限が発生していることだ。現行の法秩序の停止という例外状況といえども、法秩序ではないにしろ、秩序は存在している。法は後退しても国家は存続しているから。国家の存立は法規の効力より優越している。国家が存立しているということは政治的な決定がなされていること、それをなしうる主権者が存在することを意味する。その際「決定」はいかなる規範にも拘束されておらず、来の意味で絶対的なものになり、国家はその権利に基づき法を停止することができる。シュミットにとって国家の存立こそが第一義的に重要であり、国家形態や

    蔭山宏『カール・シュミット』を読む - mmpoloの日記
  • 公団住宅の「スターハウス」が保存される - mmpoloの日記

    今日の朝日新聞の夕刊に「後世へ伝える集合住宅の星」という記事が載っていた(7月25日)。小見出しが「赤羽台団地のスターハウス(東京都北区)」とあり、大きな写真も載っている。 記事によると、 都市部の勤労世帯に向け、旧・日住宅公団(現在の都市再生機構)が1950年代から整備を進めた「公団住宅」。ステンレス製の流し台や水洗トイレなど、当時の先端設備が備えられた「団地」は、高度経済成長期を象徴するあこがれの住まいだった。 花形はスターハウス。1フロアあたり3戸が3方向に拡がるように配置された、特別な建物だ。素っ気ない長方形の「板状住棟」が並ぶ団地のなかで、景観にアクセントを与える狙いなどから配置され、人気が高かった。 東京23区内で初の大規模団地として62年に誕生した北区の赤羽台団地。老朽化に伴い高層の「ヌーヴェル赤羽台」として建て替えが進むが、3棟のスターハウスと1棟の板状住棟が保存されると

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  • 小原泫祐と若栗玄という画家のこと - mmpoloの日記

    小原泫祐さんと若栗玄さんという画家について書いておきたい。実は二人は同一人なのだ。小原さんは1926年、長野県喬木村の渕静寺の次男として生まれた。のち東京美術学校(現東京藝大)師範科に入学したが、兄が寺を継がなくて教師の道を選んだため1945年に中退して寺を継いだ。さすがに葛藤があったようで、後日そのあたりのことを『大法輪』だったかの僧侶の専門誌に書いている。 僧侶を続けながら絵を描いていた。自由美術に出品していたが、のち日アンデパンダン展への出品に変えている。1964年には飯田市リアリズム美術家集団(リア美)結成の創立メンバーになっている。 渕静寺は小さな寺で檀家はわずか80軒余しかなかった。元々は同地を治める旗3千石の知久氏の菩提寺で檀家はなかった。明治維新後、寺は曹洞宗永平寺の修行僧のための寺となったと聞いているが、やがて檀家を得て普通の曹洞宗の寺になった。しかし80軒余の檀家で

    小原泫祐と若栗玄という画家のこと - mmpoloの日記
  • 高校の同級生のこと - mmpoloの日記

    3月29日の朝日新聞朝刊を開いて驚いた。高校の時の同級生が大きく取り上げられていた。「Reライフ」というページで、「輝く人 ノンフィクションライター 中澤まゆみさん(71)」とあり、彼女の経歴が詳しく載っている。その経歴、 なかざわ・まゆみ 1949年長野県生まれ。雑誌編集者をへてノンフィクションライターに。世界各国で取材、「ユリ 日系二世NYハーレムに生きる」(文芸春秋)などを出版した。「おひとりさま」と介護者の視点で高齢者の様々な課題を掘り下げる著書を多数発表。「せたカフェ」共同代表。昨年秋には介護保険改悪反対を呼びかける署名活動の呼びかけ人となった。近著は「人生100年時代の医療・介護サバイバル」(築地書館)。 彼女とは高校の2年と3年のとき同級生だった。高校を卒業して25年めに大きな同窓会があった。普段同窓会には出ないけれど、そこに参加して同級生たちと久しぶりに会った。その後たぶん

    高校の同級生のこと - mmpoloの日記
  • 国立新美術館の「DOMANI・明日2020」を見る - mmpoloの日記

    東京六木の国立新美術館で「DOMANI・明日2020」が開かれている(2月16日まで)。文化庁が派遣して世界各地で研修した作家たち10 人が取り上げられている。それは、石内都、畠山直哉、米田知子、栗林聡・栗林隆、日高理恵子、宮永愛子、藤岡亜弥、森淳一、若林奮、佐藤雅晴だ。この中で私が面白かった数人を紹介したい。 まず若林奮、多摩の森のごみ処分場建設のため失われた自然を庭の形で再現した。 日高理恵子は樹木の枝ぶりをモノクロームで描いている。落葉した枝を描くことが多いが、常緑樹も描いている。 (上の絵の部分) (上の絵の部分) 宮永愛子の作品は6万枚の金木犀の葉を繋いだインスタレーションだ。葉は葉脈だけにされていて、30mの長さの幅広い帯状に加工されている。 畠山直哉は郷里・陸前高田に残された津波の後にけなげに立っている樹木を撮っている。 「DOMANI・明日2020」 2020年1月11日

    国立新美術館の「DOMANI・明日2020」を見る - mmpoloの日記
  • 江原順『日本美術界腐敗の構造』を読む - mmpoloの日記

    知人に勧められ江原順『日美術界腐敗の構造』(サイマル出版会)を読む。1978年、もう40年以上前に出版された。時事的な内容を扱っているので面白いのだが古さは否めない。「まえがき」の冒頭で以下のように書かれている。 このを書くか、書かないか、随分迷った。友人たちにどちらがいいか、意見をたずねた。二、三を除いて、大方反対だった。「お前の日での将来が台なしになるぞ」「機構のことを言うつもりでも、ひとは個人のスキャンダルにしてしまうからな。日はそういう国さ」というようなことだった。 東野芳明のデュシャン論を幼稚な誤訳だと書いている。最初からちょっとすごいぞと思って読み進めた。日でのヨーロッパの美術館から借り出して開かれる泰西名画展の仕組みについて批判されている。新聞社が予算を持たない美術館と組んで行われる展覧会のやり方がヨーロッパに比べていかに非常識なものになっているか。 ただ40年以

    江原順『日本美術界腐敗の構造』を読む - mmpoloの日記
  • 長谷川義史『絵本作家のブルース』を読む - mmpoloの日記

    長谷川義史『絵作家のブルース』(読書サポート)を読む。長谷川が季刊雑誌『この読んで!』の巻頭に見開き2ページで連載しているものを単行化したもの。B5判の大型で、季刊だから年に4回発行、33回までが収められている書は8年以上連載したことになる。 最初にエッセイが載っていて、長谷川は高校を卒業して家でイラストを描いていた。イラストレーターの会社の人からグラフィックデザインも勉強した方がいいと言われて、有名なグラフィックデザイナーのデザイン事務所にもぐり込む。そこがブラックデザイン事務所だった。給料はむちゃくちゃ安い。福利厚生は一切ない。毎日家に帰れない。先生(社長)が夕方から打ち合わせと称して飲みに行く。酔っ払って帰って来て、それまでやってた仕事に駄目を出す。そっから夜中までやり直させられる。先生が夕方出かける時に、「今日はパン買うときや」と言うのは夜ということで、今夜も家に帰れな

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  • 河合隼雄・阪田寛夫・谷川俊太郎・池田直樹『声の力』を読む - mmpoloの日記

    河合隼雄・阪田寛夫・谷川俊太郎・池田直樹『声の力』(岩波現代文庫)を読む。書は2001年に小樽市で行われた絵・児童文学研究センター主催の講演・討議を記録したもの。4人が子供たちの歌や語りについて話している。私にはあまり縁のない世界で読んでいて強く惹かれるというものではなかった。いや、著者たちや編集者に罪などなくて、専ら私の関心の問題だ。 「さっちゃん」の童謡で有名な作家阪田寛夫の講演のなかにおもしろいエピソードを見つけた。講演のタイトルは「童謡の謎、わらべうたの秘密」。 ……私がいただいたタイトルのうち、童謡の謎については、かなり集めたつもりです。しかしわらべうたの秘密に関して、なにか実になるようなことを喋ったでしょうか。言わなかったに決まっています。それで児童合唱団とオーケストラの闘いを思い出しました。その曲は児童合唱団員が大勢並んでいるステージのうしろに、100人の大人のオーケスト

    河合隼雄・阪田寛夫・谷川俊太郎・池田直樹『声の力』を読む - mmpoloの日記
  • 東京の巨樹・名木 - mmpoloの日記

    年末、書棚の整理をしていたら古い雑誌が出てきた。『緑と水のひろば』49号だ。平成19年9月発行とあるから12年前になる。「特集 巨樹・名木に会いに行こう!」と表紙にある。書は東京都公園協会の発行で、内容も東京都内に限られている。 書によると、巨木の定義が地上1.3mの高さで幹周が3m以上の木とあり、環境省が2000年に行った調査では、全国に64,479あり、その内東京都が1位で3,799だという。都内で巨木が多いのは世田谷区220、文京区156、港区149、新宿区107とある。具体的には新宿御苑98、浜離宮恩賜庭園39、上野の山31、赤坂御用地29、東京大学26、皇居23、小石川植物園23という。 そして具体的に23の巨木を選んで写真と簡単なデータを紹介している。最初にA4判の雑誌見開きで写真が紹介されている善養寺影向のマツが見事だ。江戸川区東小岩にあり、推

    東京の巨樹・名木 - mmpoloの日記
    laislanopira
    laislanopira 2019/12/31
    大阪に緑が少ないと言われがちなのは、こういう巨木がないし街路樹も大切にされないからという気もする
  • 道浦母都子『女歌の百年』を読む - mmpoloの日記

    道浦母都子『女歌の百年』(岩波新書)を読む。最初に俵万智とその同時代の水原紫苑、米川千嘉子が取り上げられる。そして与謝野晶子から始まって、山川登美子、茅野雅子、九條武子、柳原白蓮、原阿佐緒、三ヶ島葦子、岡かの子、中条ふみ子、齋藤史、葛原妙子、河野愛子、森岡貞香、馬場あき子、山中智恵子、そして河野裕子、阿木津英、永井陽子、松平盟子、栗木京子、道浦母都子らの主要な歌と歌人の簡単な経歴が語られる。 素晴らしいだ。著者が優れた歌人だから歌の解釈も説得力があるし、歌人たちの選択も素晴らしい。初版の発行が2002年ともう17年前になる。どうして今までこのを読まなかったのか悔やまれる。 短歌作品と道浦によるその解釈を拾っていく。 与謝野晶子 乳ぶさおさへ神秘のとばりそとけりぬここなる花の紅ぞ濃き (あなたを愛することによって、私の乳房――私全体――を抑えていたもろもろのとばり、それらが全て打ち払わ