メモ書き。分類項A《自己への没入-自己からの逃亡》何はともあれ、近代というのは《自己》ということの病を所持している。もっと堅くいえばエゴイズムの問題だ。この場合、自己ということの病というとき、わたしがどうしようもなくわたしであるということをさす。ミードの図式を借りるならばI(自己を見る自己)とme(対象化された自己)のmeの部分ではなく、このどうしても「I」であらざるをえないという状況のことだ。問題は、哲学/現代思想において「自己」の問題を語るとき、「自己への没入」、すなわち「わたしとはいかなる存在か」ということに悩み続けるのとは別に、「自己からの逃亡」、すなわち「わたしとはこのような存在ではないのではないか」という二つの問いが同居している。ポストモダンの「自己」の解体の仕方は後者であった。しかし、この「自己」の解体は、逆説的に「自己」の問題を否定神学的に押し上げただけだったという見方もで