「産んでくれてありがとう」「自分を大切に」という教育への絶望 ──「自殺予防教育」というと、命の大切さ、尊さを教えたり、「お父さん、お母さん、産んでくれてありがとう」と感謝の気持ちを持つことで「自分を大切にしましょう」と子どもたちに伝えようということがさかんに言われますね。 松本 自殺リスクの高い子たちは、養育者や友達からこれまでたくさん殴られていて、全然大切になんかされてこなかった子がすごく多いんです。養育者にも「あんたなんか産まなきゃよかった」って罵られて育ってきている。そんな子どもたちに、「死にたいなんて思うのは産んでくれたことに対する感謝の気持ちが足りないからだ」とか、「リストカットなんかするヤツは不道徳だ」なんて言っても意味がないどころか害悪です。「命の大切さ」なんて言葉は気休めにもなりません。 彼らは「人に助けを求めても無駄だ」と絶望している。そんな子どもたちに美辞麗句を並べ立