ウクライナ侵攻から1年、ロシア軍は第2次大戦以来となる甚大な損耗をきたしているが、未だに継戦能力が衰えないのはなぜなのか。約半数を失ったとされる戦車にフォーカスしながら、損失を補う予備保管戦車の存在、増強しつつある修理・改修・新造能力について解説する。(後編はこちらからお読みいただけます) ロシアによるウクライナ侵攻開始から1年を迎えた。ロシアが望む形でウクライナを屈服させ戦争に勝利する展開は考え難い一方、ウクライナ側も秋のハルキウ攻勢以降、大規模な反攻を成功させる兆しは今のところなく、戦況の見通しは不透明なままだ。確実に言えることは、現在のウラジーミル・プーチン政権にこの侵略戦争を止める意志はなく、またロシアは今なおそれを続けるだけの継戦能力を有しているということだ。 第2次大戦以来の損耗 ロシア軍の損耗は甚大である。主要装備の損害を見れば、地上戦の要となる機動部隊(戦車・機械化歩兵)の