「福島第一原発を見に行かない?」 そう誘われたのは、1月下旬のこと。東京電力から特別な取材許可がおりたらしい。行きます、と即答した。 東日本大震災により、歴史に残る重大事故が発生した原子力発電所。返事をしたあと、ぱっと思いつくのはその程度の情報だった。 震災当時は一日中テレビにかじりついて、少しでも情報を得ようと必死だったのに。10年が経とうとする今、あの場所がどういう状態にあるのか、恥ずかしくなるほどに何も知らない。それを反省する気持ちと、純粋に知りたいという思い。そして正直に告白すると、「普通には入れない場所の非日常感」への少しばかりの好奇心が、一緒くたになっていたと思う。 名前、国籍、住所、本人確認資料、持ち込むカメラのメーカー及び機器名称。それから過去3日以内のPCR検査結果。事前に提出すべき情報がたくさんあった。カメラが必要なのは、スマホを持ち込めないからだ。久しく使っていなかっ
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