今年2019年は、「ノモンハン事件」から80年にあたる。 「ノモンハン事件」は、1939(昭和14)年5月11日に始まり、同年の9月16日に停戦交渉が成立し終結した、国境線をめぐる日ソ間の軍事衝突である。国境付近の大草原を舞台にした3次にわたる激戦で、双方ともに1万人の戦死者、2万人以上の負傷者を出している。「事件」というよりも、実質的に「戦争」であった。 「昭和」がすでに遠い時代となりつつある現在だが、ノモンハン事件は、依然としてネガティブな意味合いで使用されている。ロングセラー『失敗の本質』(野中郁次郎他)でも失敗事例として冒頭に取り上げられているくらいだ。 ノモンハン事件は、その2年後に開戦した太平洋戦争につながるものであり、最終的に日本を破滅に導いた出発点にあるという認識が、日本では一般的に共有されているといってよいだろう。そして、当事者の「関東軍」は、中央の統制がきかない、暴走す