「ある医療モール運営会社から熱心に誘われたが、あまりメリットを感じないので、そこでの開業は見送った」──。 現在、都内の大学病院に在籍し、開業準備中の医師は語る。 医療モールとは、ビルなどの同じ建物内に複数の診療所が入居する事業形態のことだ。地主やビルのオーナーにとっては、イメージがよく、不景気にも強いという印象があるため、近年、大都市圏を中心に増えてきた。 しかし、最近は新規開業の際に診療所集めに苦労したり、入居した診療所が抜けたりで、“歯抜け状態”になった医療モールも増えている。ある運営会社の営業担当者は「最後の一つがなかなか決まらないことが多くなった」と嘆く。 今年に入って以降、厳しさはさらに増している。開業や支店開設など、初期投資の負担に耐え切れず、「メディカル・コンプレックス」の名称で知られる日本複合医療施設や、都内や札幌で「ドクトルズ」を運営していたメディカル・ハイネットといっ
