若者や子どもがわからない。そんな戸惑いと不安が広がっている。陰惨な事件は後を絶たず、閉じたコミュニケーションも世代の壁を厚くするばかりだ。背景に、経済至上主義と管理社会という戦後日本の病巣があると早くから指摘し、若者の生態をルポしてきた藤原新也さんは、そうしたゆがみは極限に達していると語る。 ――今年2月に川崎市の河川敷で中学生が殺された事件など、最近また、若者や子どもがらみの事件に注目が集まっています。 「集団でのなぶり殺しという、若者のはらむ狂気のすさまじさに衝撃を受けたんだろう。一方で気になるのは、友達にタリウムを飲ませたとか、通行人に硫酸をかけたとか、単独犯の訳のわからない事件が散発していること」 「街を歩くと、都会も地方も一見、平穏だ。かつて大人が眉をひそめた、暴走族やヤンキー、ヤマンバといった身体表現は消えつつあるし、コンビニ前にたむろする子も少ない。皆、『普通の子』なんだ。こ
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