本書『ザ・コピーライティング』は、「広告の父」デビッド・オグルヴィも学んだ伝説のバイブルである。 いまから12年前のこと――私は毎晩、むさぼるように本書を読んでいた。 ベッドのなかで眠気に意識を失うまで、手放さなかった。目覚めても、開かれたままのページに舞い戻った。 それだけ本書に没頭したのは、当然だった。飛び込んでくる言葉は、通常の気の利いた言葉ではない。1語1語が、収益を生むことが科学的に検証された言葉だという。計画数値の必達にあえぐ、外資系企業の代表者であった当時の私にとってみれば、魔法のような本だった。 「言葉が富を生む」なんてことは、ありえないように思えた。MBA課程では、マーケティングやマネジメントといった活動が利益を生むことは学んだが、単に言葉の選択で収益が何倍もの違いを生むなんていうことは、聞いたこともなかった。 「こんなことはアメリカだからうまくいくことで、日本ではきっと