LINEが日本で管理している顧客情報や一部のチャット内容が、業務委託先である中国の関連会社から閲覧可能になっていたことが3月17日に発覚した。同日記者会見した加藤勝信官房長官は、「事実関係を確認し、適切に対応していく」と述べ、政府として問題視していくことを明らかにした。 LINEの利用者にしてみれば、家族や友人、同僚とチャットしていた内容が中国当局に筒抜けになっていたのではないかとの不安が拭えない。LINEの広報担当者は、「通常業務の一環でデータにアクセスしたのであり、決して不正が行われたわけではない」としている。それでもなお、問題視されるのには深いわけがある。 暗躍する中国の「サイバー民兵」 人民戦争理論――。中国の建国の父、毛沢東が説いた思想の中核をなす戦術論である。 1937年に勃発した日中戦争で、民兵と正規軍が協力して日本軍と対決するために編み出された。軍と民間の融合を目指したその