本書は、わりと以前に読んだのですが、なかなか紹介できずにいました。ひどく紹介するのが難しい本なのです。言い換えると、容易に人に薦めたくならない本です。(しかも、あえてこちらで紹介するまでもなく、すでに十分有名な本ですし)。 悩んだのは、どうしても私としては、「人の心に訴える本ではあるが、そういう本には注意した方がいい。本書もそういう本の1つ」と言いたくなるからです。 宗教的ですらある、自己啓発本 もともと、道徳的で、しかも非常に上手に語られている自己啓発書と宗教とを、くっきり分けることなど困難です。そのこと自体は問題とする話でもありませんが、これだけ強いメッセージが、巧みに抑制されて書かれていると、ある種の読者には強烈な印象を残さずにはおかないのです。 そもそも本のメッセージ通りに生きることなどできない相談です。それが「生き方」に関することであれば、余計にそうです。生真面目な人はこうしたも