私は幼い頃、母が好きではありませんでした。父親が事業に失敗し(それはずっと大人になってから知るのですが)狭い家に引っ越して、両親は必死で働いていたので、幼い私と弟の面倒は祖母がみていたのです。 幼稚園の遠足なども祖母が一緒に行くのが当たり前でした。 なので私にとっては祖母が母親という感じでした。祖母はとても優しくて穏やかな人だったので尚更だったのでしょう。 父は兄弟が多く、長男の上に父親が早く亡くなったので、年の離れた兄弟にとっては父親のような存在だったと思います。 そんな父と結婚した母は、何かと苦労が多かったのだと、今の私だったら理解出来ます。 でも、当時の幼い私は、自分達に対して優しい言葉をかけるでもないそんな母は苦手だったのです。 母はきっと余裕が無かったのだと思います… 手先が器用なので、仕事以外にも家にいる時には、着物とか綿入れを仕立てていました。 幼い私と弟は、面白半分に手伝っ