AORという音楽ジャンルが再び脚光を浴びている。王道のロック志向の方々からは軽薄に見られた時期もあったが、最近の動きはソウルやレア・グルーヴといった側面からも捉え直された再評価と言える。そのAORがどういう経過を経て誕生したかは諸説あるが、必ず引き合いに出される "AORの原点" という作品が『Italian Graffiti』で、そのアルバムを生み出したのが Nick De Caro である。 Nick De Caro(本名:Nicholas Joseph De Caro)は'38年6月23日、オハイオ州クリーヴランド生まれ。父親がミュージシャンということもあり、Nick が物心ついた時には、Frank Sinatra、Jo Stafford、The Four Freshmenといった当時のポピュラー・ミュージックが家中に響きわたっていた。楽器は6歳からアコーディオンを始め、その後はギタ