この四半世紀、世界のどこかでバブルが膨張し、やがて崩壊することが繰り返されてきた。カネと金融資産が交換される「金融経済」が、情報技術の進歩が生んだ様々な金融手法により、実在する資金の数十倍もの規模に膨らんで、政府による規律なき国債増発も誘発されてきた。モノやサービスの生産や販売、設備投資など金銭に対する具体的な対価が伴う経済活動、つまり「実体経済」とかけ離れたところで、世界経済はもがき苦しんでいる。識者には「ただ儲かりさえすればいいという『金融資本主義』は、終焉が近い。世界は、モノやサービスの裏付けがある実物経済へ回帰する」とする声もある。金融資本主義に代わって、「ものづくり」が復権するのだろうか。 ――中村さんも、行き過ぎた金融資本主義に疑問を持たれていますね。 【中村】ええ、そうです。世界的に格差の問題が高まっていますが、これは、金融資本主義と自由化の行き過ぎが生んだところが大きい気が