エジプト大統領選の決選投票では、イスラム主義組織ムスリム同胞団が公式の開票結果を待たずに、同派の推すムルシ候補が軍人出身のシャフィク候補を破ったとする勝利宣言を出した。この前のめりな姿勢に、イスラエルは警戒を強めている。 ムルシが大統領になっても、当面はイスラエルを攻撃したり、平和条約を破棄したりすることはなさそうだ。だが、イスラエルを孤立化に追い込み、ガザ地区のイスラム原理主義組織ハマスを支援し、ムバラク政権時代に改善された両国関係を悪化させる恐れは大いにあると、イスラエル政府筋は見ている。 軍部がムルシの大統領就任を認めたとしても、その前途には難問が山積している。まずは革命の混乱で崩壊した経済の再建が急務となる。 それだけではない。シナイ半島の治安回復も急を要する。今のシナイ半島は無法地帯と化し、パレスチナ各派の武装勢力がイスラエル側に砲撃などを繰り返しているからだ。 またムルシが国内