会話を楽しむためには、豊かな語彙が必要だ。 あなたは語彙を増やす努力をしているだろうか。 希代の翻訳家に語彙を増やす方法について聞いた。 豊かな語彙を身につけ、翻訳不能本を完訳 正確に分かりやすく話す。あるいは楽しく知的な会話を繰り広げる。そのために欠かせないのが、豊かな語彙だ。陳腐でワンパターンな言葉遣いは、その人の能力の低さやセンスのなさを連想させてしまう。その意味で、語彙の不足は間違いなく仕事に不利に働く。では、いかにして豊かな語彙を獲得すればよいのか。 翻訳不能と言われたジェイムズ・ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』を完訳した柳瀬尚紀さんは、言葉遊びを駆使した独自の文体で知られる英文学者・翻訳家である。柳瀬さんが繰り出す豊饒な言葉を支えているのは、国語辞典を「読む」行為である。 ジョイスは、20世紀文学の巨匠であると同時に難解な前衛文学者。文学史では特筆される存在でありながら