(前回から読む) ―― 今の時代に優勢なのは「手間をショートカットする欲望」だけれども、本当は「面倒」を引き受けると、作品や組織が豊かに育つと。そのようなお話をうかがいました。 「ショートカットの欲望」を抑え、回り道や手間を惜しまないことが、いい成果や、あるいは感動をよりおいしく味わうことにつながる、と。けれども、日々仕事をしていると、やはりショートカットのほうがいいじゃないか、と思うことがありますよね。特に結果へのプレッシャーが厳しかったり、忙しい、人手がないなど、時間や人材のリソースがない状況ですと。 楽な方向へ行きたいという欲望は人間の不変のものでもあり、手間のショートカットや効率化は、そうして進んだという社会的側面があります。正しいと思っても、自ら進んで非効率の波をかぶって人と折衝したりすることは難しいと思いますが……。ご自身でも、そう思うときはあると認めていらっしゃいますよね。ど