日銀次期総裁候補の植田和男氏は学者出身だが、金融機関寄りともとれる発言をしていたという記録がある。 日銀審議委員だった原田泰氏は、著書『デフレと闘う─日銀審議委員、苦悩と試行錯誤の5年間』で、日銀がイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を導入した2016年9月のことを次のように書いている。 《日銀は、さまざまな研究会を開催している。そのなかの1つ、9月30日に開催された第3回カナダ銀行・日本銀行共催ワークショップの終了後のパーティで、東大の植田和男教授は、通常の歓迎スピーチの機会に、わざわざメモを用意して、「長期金利の0%の金利のペッグ(マイナス金利政策とイールドカーブ・コントロールで、長短金利をある程度固定していることをペッグと表現した─筆者注)がハイパーインフレを引き起こす。金融機関経営が厳しくなり、金融仲介機能を壊して経済を悪化させる」と述べた》