数ある組み込み機器のなかでも、タッチパネルやネットワークなどある程度リッチな機能が必要となる際に選択されることの多いOSが「組み込みLinux」である。他OSとの違いや開発にまつわる現状を解説する。 組み込み機器の中でも、ある程度の機能が要求されるデバイスになると、ソフトウェア側にも相応に配慮が必要になる。例えば最近の旅客機に搭載される多機能エンタテイメント機器。オンデマンドでの映画や音楽の再生、飛行情報や地図上での現在位置の表示といった機能がてんこ盛りになっている訳だが、これの実装を例にして考えてみよう。 まずマルチタスクOSは当然必須で、機内のVODサーバと接続するためにはネットワークスタックも必要である。そして音楽や動画のコーデックも搭載して、プレーヤーも載せなければならない。地図表示も単に世界地図上に現在位置を表示するだけの簡単なものもあれば、3Dで地形や航路を表示するものまである