「顧客のシステム運用を請け負う我々のような会社は、サッカーにたとえると守備の最終ライン。顧客はもちろんフォワードだ。攻め込んでくる相手のボールを奪って得点に結びつくパスをフォワードに渡しても、おおっぴらに褒められることはない。ところがひとたび失点すれば、矢面に立たされるのは我々だ」。先日あるITサービス会社の役員は、記者に対し半ば自虐的に漏らしていた。 この会社は、金融機関向けにシステム運用のアウトソーシングサービスを提供してビジネスを拡大している。アウトソーシングサービスというと「提供会社と顧客との関係が、どうしても“なあなあ”になりやすい。顧客は開発フェーズに重点を置き、運用フェーズへの投資は渋りがちだ」(別のITサービス会社)。こうした中、この企業は顧客と積極的にSLA(サービスレベル契約)を結ぶことで成果を上げている。それでも、ユーザー企業がシステム開発を“主”ととらえ、運用サービ