実は、私は、最底辺の人間です。 近所の銭湯カーストにおいて。 その銭湯では私は非常に弱い立場にあり、誰も私の意見なんて聞いてくれません。 私の立場が弱いのは、私のせいです。 銭湯で身体を洗った後、私はよく、風呂椅子と桶を片付け忘れてしまうのです。 そのたびに、その銭湯の主みたいなお爺さんに、公衆の面前で叱責され、私の立場はどんどん弱くなっていくのです。 そのお爺さんは、背は低いけど、背筋をピンと伸ばし、堂々と胸を張っています。城主さまのような威厳があり、とても平民の私などが逆らえるような雰囲気ではありません。 その銭湯では、天井付近に窓がずらりと並んでおり、いつもその窓が開いているせいで、かなり寒かったです。 そのことを番台のお婆さんに相談すると、銭湯の端にあるレバーを回せば、その窓の開閉ができると言うのです。 いいことを聞いた! と思った私は、さっそくレバーを回して、窓を閉めようとしまし