ネウロズ難民キャンプの泥道に立つヤジーディー族の男性。イスラム教スンニ派の教義を厳格に守ることに固執する過激派「イスラム国」は、ゾロアスター教をはじめいくつもの宗教の要素を併せ持つ信仰を守ってきたヤジーディー族を、異端として迫害している。(Photograph by Massoud Mohammed, Reuters) 膨大な数の難民が暮らす中東イラク北部からシリア東部にかけての地域に冬が訪れると、テントや簡易な建物に暮らす避難民の生活は一気に厳しさを増した。大雨や吹雪に見舞われたキャンプもある。 シリア北東部にあるネウロズ難民キャンプは、雨が降り続き、足首まで泥に埋もれる。たわんだテントの中で、ムフシン・エドは力なくうずくまる。毛布で作った上着は、泥にまみれている。暖房に使う灯油はなく、かまどにくべる乾いた薪も底を尽きかけている。快適さとはほど遠い場所だ。 2014年、中東の難民を取り巻