わたしが20代のころの話。 子どもの頃はパパの書斎が大好きだった。 パパの書斎には大きな本棚が二つあって、天井に届くくらい大きな本棚にはぎゅうぎゅうに本が詰めてあって、難しい本ばかりで子どもには手も足もでないような本ばかりだった。 でもある日、その中から漫画を見つけた。それは手塚治の火の鳥で、ジャンプくらいのサイズの漫画だった。 私は火の鳥を全巻読んで、この作品が大好きになって何回も何回も数えきれないくらいに読み返した。 その中でも特に印象的だったエピソードは、醜く汚ならしい男が美人の尼さんのもとに通い、彼女に身体を清めてもらうという話だ。 他の尼は男の醜さと不潔さにドン引きして関わろうとはしないのに、その美人の尼さんだけは差別は良くないと進んで男の身体を労り、清め続ける。 するとその男は実は神様で、容姿の悪さや不潔さに態度を変えず、清い心で接し続けたのは感心だといって美人の尼さんを誉めた
