事故とはなにか。 本来、事故は持続的に起こるものではない。点で生じる。仮に持続したとしても、持続をもって事故とは本質的に考えない。しかしその反対の安全は、持続的でなければ意味がない。ある瞬間に安全でも、次の瞬間に死ぬ可能性があるなら、それは安全とはいわない。危険である。だが、この持続の範囲は決まっていない。この範囲を決めるのはじつは同じ対象について起こる事故である。したがって、すこし視界を広げると、安全と事故とはいつも隣り合わせになっている。すなわち、事故の可能性がある場所でしか、安全は問題化されない。安全、危険、事故。この奇怪なトライアングルのなかで安全神話が形成される。それは文字通り、現実をもとにしているというより信じる類いのものである。実際には、安全かどうかは、事故が起こるまでわからない。事故のないあいだは、安全が持続することを信じるしかないし、危険な状態と完全に区別することは不可能