エドワードの案内でやって来たヴィルプーラムは、外国人が訪れるような事はまずありえない、どこと言って特徴もない普通の地方都市だった。だが翌日の早朝、町の中心に位置する公園を訪ねた私は、ありえない光景に言葉を失う事となる。 この道場のマスターはウラガ・ドゥライ師。もう60を越える年配だが、若い頃は選手として活躍し、地元のヴィルプーラムに落ち着いてからは仕事のかたわらボランティアでマラカンブを教え続けてきたと言う。早速見せてもらったその実技は、想像を超えた異次元ワールドだった。 公園の広場に一本の木の柱が立っている。それはぐらつかない様に数十センチの深さに埋められ、高さは2m5~60cmはあるだろう。太さは根元で20㎝弱。上に向かって軽くテーパーがかかって、最上部はバットの握りの様にくびれがついている。一見、クシュティで使うムクダルを長大にして握りを上に立てた様な姿だった。 その柱に向かって、ト