第3部「永遠の相のもとに」の続き スピノザと園子温第4部「利己主義の果て・モノローグ的生」 私たち凡人は「永遠の相のもとに」認識することもできず、苦しみ続けるしかない。結局スピノザの思想は孤独なエリート主義でしかないのか。この第4部ではスピノザ思想の中核にはある根本的な危険がひそんでいることを示す。そしてスピノザ思想をつきつめた果てにはマルキ・ド・サドが、そして園子温がいることも。 スピノザ哲学の最重要概念はコナトゥス=自己保存本能、自己存続の努力である。何びとたりと各人の持つコナトゥスをおびやかすことは許されず、おびやかすものを排除することができる。これがスピノザの言う自然権である。 自然状態においてはすべての人の同意に基づいて善あるいは悪であるようないかなることも存在しないことを我々は容易に知りうる。なぜなら自然状態における各人はもっぱら自己の利益のみを計り、自己の意のままにかつ自分の