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2015年2月12日のブックマーク (5件)

  • 【1150冊目】ジョック・ヤング『後期近代の眩暈』 - 自治体職員の読書ノート

    後期近代の眩暈―排除から過剰包摂へ 作者: ジョック・ヤング,木下ちがや出版社/メーカー: 青土社発売日: 2008/08/23メディア: 単行購入: 7人 クリック: 36回この商品を含むブログ (30件) を見る 以前読んだ「排除型社会」に続く一冊。副題は「排除から過剰包摂へ」となっているが、べつに排除型社会が解消したということではない。むしろ社会的な排除は、きわめて見えづらく、また複雑化している。書はその具体的な様相をあきらかにする一冊。 排除の中でも特に問題なのは、社会的に排除されている人々、具体的には貧困層が、文化的にはその社会にしっかりと取り込まれつつ、同時に排除されているということ。少し長いが、引用する。 「そこはアメリカンドリームで溢れていた。グッチ、BMW、ナイキの虜にされ、一日に11時間テレビを視聴し、主流文化の暴力への強迫観念を共有し、ブッシュの湾岸戦争を支持し、

    【1150冊目】ジョック・ヤング『後期近代の眩暈』 - 自治体職員の読書ノート
  • ジョック・ヤング『後期近代の眩暈──排除から過剰包摂へ』 - ものろぎや・そりてえる

    ジョック・ヤング(木下ちがや・中村好孝・丸山真央訳)『後期近代の眩暈──排除から過剰包摂へ』(青土社、2008年) 文章にまとめるのが面倒くさくなったので、以下、だいぶ雑ですが箇条書きでメモ。 日常生活の脱埋め込み(ギデンズやバウマンの著作を読むとよく出てくるキーワード。disembeddingの訳語らしいが、ちょっとイメージがわきづらい) ・文化・諸制度への埋め込み(ある枠組みの中に自分自身が組み込まれているという感覚)から外れて流動化。選択肢が増えた、自由だという感覚と同時に、存在論的不安、アイデンティティの基盤が崩れた感覚。 ・「後期近代を貫くのは、社会的な場所が喪失されたイメージ、物語(ナラティブ)が崩壊し構造が不安定になるイメージである。つまり空間と文化がもはや一致しないような断片化された世界のイメージであり、ある空間が別の時空間や個々人の想像の産物と結びついたような融合物のイメ

    ジョック・ヤング『後期近代の眩暈──排除から過剰包摂へ』 - ものろぎや・そりてえる
  • 田野大輔『愛と欲望のナチズム』 - ものろぎや・そりてえる

    田野大輔『愛と欲望のナチズム』(講談社選書メチエ、2012年) ヌード写真の掲載された雑誌が流通し、全裸の女性のアトラクションも催される。婚前交渉や不倫も容認され、銃後の女性や若者たちは性戯にふけり、兵隊や捕虜にまで売春宿が設置されていた。ドイツ第三帝国で日常生活に広まっていた「性」のあけっぴろげな放埓さ──。上意下達の総力戦体制は倫理面でもリゴリスティックな抑圧を行き渡らせていたと思われがちだが、書は一次資料に依拠しながら強面のナチズム体制にまつわるそうした通念を崩していく。単に建前と偽善という当たり前な話ではなく、性的欲望の解放もまたナチズムを支える駆動力となり得ていたカラクリを論証していく手際が書の面白いところだ(この点で、フロイトの精神分析学を踏まえて性的抑圧がファシズムを生み出したと考えたヴィルヘルム・ライヒ『ファシズムの大衆心理』とは正反対の結論となる)。 ナチスもまた神な

    田野大輔『愛と欲望のナチズム』 - ものろぎや・そりてえる
    lotus3000
    lotus3000 2015/02/12
  • 泣き出す裁判長 日召が歩み寄ってお辞儀                        一人一殺 49: J's Seize Japan - from a tiny room in Tokyo

    判事席の左側のメガネの人が藤井裁判長。 (写真をクリック) 「井上昭を……、無期懲役に処す」 小沼は無期、菱沼無期、古内懲役15年…。 死刑(求刑)は無期になり、無期(求刑)は有期になり、15年(求刑)が8年、7年(求刑)が3年…。 寛大な言い渡しに、被告たちは、感激に身を震わせて頭をだんだん低くたれる。 最後に藤井裁判長は、 「もし刑が決まって服罪するなら、みんな体を丈夫にして……」 と、何か言おうとしたが、語尾は涙に濡れて唇を噛んで顔を伏せてしまった。 そして、横を向いて、 「帰ってよい」という。 伊藤被告がまず階段を地下へ下り始めた。満廷、総立ちだ。 日召は、静かに立ち上がると、 裁判長席の下へ行って、感謝いっぱいの瞳をじっと裁判長に向け、お辞儀をした。 しかし、裁判長はそれに気付かず横を向いている。 このため、日召=写真下=は、 藤井裁判長が顔を向けている方へ歩いてまわり、裁判長に

    lotus3000
    lotus3000 2015/02/12
    血盟団事件の裁判の一コマ。この風景はなにがもたらしたのか。
  • 中島岳志『血盟団事件』 - ものろぎや・そりてえる

    中島岳志『血盟団事件』(文藝春秋、2013年) 1933年、元蔵相の井上準之助と三井財閥の団琢磨が相次いで暗殺された血盟団事件。個人として考えるなら生真面目で純朴な若者たちがなぜ「一人一殺」を掲げるテロリズムへと突っ走ったのか、彼らのカリスマ的指導者となった井上日召は何を考えていたのか。社会的格差が拡大しつつある閉塞感の中でやり場のない屈を抱え込んだ閉塞感。そこに由来するうめき声を、単に過去のものと突き放すのではなく、現代社会における問題と重ね合わせながら描き出そうとする筆致は、著者の『朝日平吾の屈』(筑摩書房、2009年)及び『秋葉原事件──加藤智大の軌跡』(朝日新聞社、2011年)と同様である。 団琢磨を殺害した菱沼五郎の上申書に見える「神秘的暗殺」という言葉をどのように捉えるか。井上日召の自伝『一人一殺』(日週報社、1953年)は私もむかし読んだことがある。存在論的な懊悩にもだ

    中島岳志『血盟団事件』 - ものろぎや・そりてえる