アジア大会銀メダリストの北岡幸浩(NTN)に続いて世界選手権代表に内定したのは、市民ランナーだった。日本陸連の沢木啓祐専務理事は「(実業団選手には)ショック療法になる」と前向きに受け止めたが、坂口泰・日本陸連男子マラソン部長は「実業団に身を置く者としては、これをきっかけにもっと挑戦してほしい」と苦渋の表情だった。 日本のマラソンの強みは実業団制度にあると言われてきた。雇用を含む恵まれた練習環境、経験に裏打ちされた指導方法、洗練されたトレーニングなど日本独自の強化策は誇るべきものだった。典型的なトラック選手だった尾田賢典(トヨタ自動車)が今回、入念な準備でマラソン転向に成功したのもその証しだ。「日本のエリート育成システムからの落ちこぼれ」と語る川内優輝(埼玉陸協)が与えた衝撃は大きく、沢木専務理事は「(結果を出すための)方程式は一つじゃない」と言った。 福岡、別府大分はともに内容に決め手を欠