今日は、ある人と私の思い出話にお付き合いいただきたい。8月10日、惜しまれながらも逝去された瀧本哲史君のことである。 彼の業績や、仕事については多くの人が書くであろうし、すでに彼自身が自分の言葉を紡いでいる。であるから、そういうことではなくて、天才だった彼が、人間としていかに大きくあたたかく、やさしい人であったか。彼の性格や人となりについて書きとどめておきたいのだ。 大学3年になる春、マッキンゼーという、当時誰にも知られていない会社で、大学生向けに大変割の良いアルバイトがあった。なんと一週間で10万円もくれるというのだ。その内容は、今でいうインターンで、実は明確に就職活動だったのだが、そんなこととは知らなかった私はのそのそと面接に出かけて行き、無事10万円を手にする権利を得たのであった。 バイトの当日に会社に行くと、6人ほど仲間がいた。そのうちの一人が、発想はぶっとんでいて、発言の切れ味も
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