現在の英国の恐慌(ディプレッション)は、少なくとも第1次世界大戦以降では最長となる。成長率が劇的に上昇しなければ、「大恐慌」を上回る国内総生産(GDP)の累積損失を生む可能性も高い。それだけでも十分に憂慮すべき事態だ。 それ以上に気がかりなのは、そうした予想を変える術はほとんどないという、ほぼ普遍的な見解である。 景気後退は経済が縮小する期間だ(リセッションの語源は「後退」を意味するラテン語)。これに対して恐慌は、GDPが当初の水準を下回っている期間と定義できるかもしれない。 最近、3人の研究者がGDPの月次試算データを使って、こうした定義に基づく英国の恐慌を分析した*1。現在イングランド銀行の金融政策委員会の委員を務めるマーティン・ウィール氏ら論文の筆者3人はこれで、1920~24年の恐慌に始まり、現在の恐慌に至るまでの英国の恐慌の規模と継続期間を分析することができた。 過去1世紀で最も