本書『エロティシズム』L’Érotismeは、フランスの哲学者ジョルジュ・バタイユ(1897~1962)の代表作だ。1957年に出版された。 本書のテーマは、その名の通りエロティシズムだ。エロティシズムの本質、意味は何か。人間の性と動物の性のあり方はどう違うのか。美の本質はどこにあるか。本書でバタイユはこうした問題について論じている。 バタイユは本書でいたってマジメに、かつ真正面からエロティシズムを扱っている。バタイユがここでエロトークを行おうとしているわけではないことは頭の片隅に置いておいてほしい。 エロティシズムは人間に固有 さて、冒頭でバタイユは次のように言う。 人間と動物は、ともに性活動を行う。しかし人間だけが性活動をエロティックな活動にした。エロティシズムは人間に固有であり、動物には見られない。それは動物的・本能的な生殖活動とは本質的に異なるものだ。 正確な定義を求めるのならば、