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かつて、小室哲哉は『RUNNING TO HORIZON』のなかで、“眠れない午前二時 苛立ちがドアを叩く 走れない狼たち 闇に爪を立て さまよっている”と歌った。この曲は、中二病っぽい疾走感と、自分自身の未熟さへの自覚がミックスした、“一人前になる前の狼”の心情にジャストフィットのものだったと記憶している。 さて、『RUNNING TO HORIZON』が発売されて約二十年が経ち、小室哲哉も逮捕されてしまった2008年。あの頃、“一人前になる前の狼”だった男性諸氏は、その後、どうなったのか。 …ごらんの通りである。あのころ中学生〜高校生だった世代も、いまや中年。思春期という“牙を磨く季節”を終えて彼らが辿り着いた境地は、どうやら“一人前の狼”ではなかったらしい。例えば、渡部伸『中年童貞』によれば、今、20代後半〜30代前半の世代においては、男女交際が全く出来ない男性が増えているという。小
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簡単にいえば「自分の真意を語らない」、或いは、そのように振る舞うことである。 ある主題について、「自分の意見」ではなく「ひとつの考え方」を提示する。そういうキャラクターとして自らを認知させる。つまり、書き手の思考は書かれたものよりも遥か高みにあって、カウンター意見をも織り込み済みでやっているのだ、というメタ視点キャラを確立するのである。これは、批判者にとってはやり難いことこの上ない。そういう手法そのものを批判することはある程度有効だろうけれど、書かれた内容について突っ込むことはほとんど「ネタにマジレス」に近い。或いは、釈迦の掌の上の孫悟空状態だろうか。これほど書き手に有利なやり方はそうないと思う。 これに近い手法でエキサイティングな極論を繰り出す人気サイトのひとつが「分裂勘違い君劇場」だろう。そもそもぼくには難しくてよく分からないことも多いわけだけれど、ある種のフレームワークを提示し、寄せ
欺瞞を捨て自己の内に沈潜する 選択的非コミュの自画像 中島義道『孤独について 生きることが困難な人々へ』は徹底した自分語りの書だ。語られるのは、どこまでも孤独な自分史である。読み始めてみると、まるで他人の粗を論い非難しているかのような口調に少し戸惑いを覚えるかもしれない。確かに、一見、世を拗ね、孤独を他人のせいにするかのような批判的描写が随所に見られる。著者のナイーブな精神を勘定に入れるにしても、それは自業自得ではないか、といいたくなるようなエピソードも散見される。そこで、ただ突っ込みを入れて思考停止してはいけない。その違和感こそが選択的孤独を理解する第一歩である。 封建的でエリート意識の強い両親の家系、夢追い人の父、その父に死ぬまで恨み言を吐き続ける母、無理解な教師たち、無邪気で無神経な級友たち、退屈な哲学の講義、助手の自分を執拗にいじめる大学教授…。とにかくその描写の辛辣さには遠慮がな
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