二週間ほど前、妻が若い男を紹介するといってきたとき僕に沸き起こったのは、嫉妬でも怒りでもなく烈しい後悔であった。こんなことになるなら妻が働きに出るのを許さなければよかった。こんなことになるなら「私は裕福な暮らしをしたい」と妻が言いだしたとき、強くぶっておくのだった。そんな烈しい後悔だった。 「キミの給料では足りない」「人形のお洋服が買えません」妻が僕の収入への不満を理由にパート仕事を始めると宣言したとき、僕は反射的に妻に対して右手を振り上げていた。悲しかった。月一万八百円の小遣いでのやりくり。現場にヘルプで入って朝5時からのマッシュポテトを作り。常態化した12時間労働。小生意気な学生バイトから「ポテトマッシャー」「ユニットリーダー」という蔑称で呼ばれる日々。そんな非人間的でダリぃ日々に耐えてこられたのは、ダーリン、君がいるからだよ。そんな僕の想いは無に帰したのだ。 これは嘘だ。悪夢にちがい
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