本当に独りになったこともない人が「孤独」についてもっともらしく語るとき、それを聴く私の態度は決まって冷めている。 ある人が、「孤独は寂しくて怖いものです」と言っていた。浅はかだな、と思った。 孤独という状態が怖いのではなくて、「明日もこのまま孤独のままなんだろうか…」と想像するのがとてつもなく怖いんだ。終わりの見える孤独ならまだ耐えられる。けれど、いつ終わるとも知れない孤独には人は耐え難い。 「孤独」に宿る怖さの正体は、孤独という状態そのものではなく、それが継続してしまうかもしれない、終わらないかもしれないという予感でしかない。 そんなこともわからずに、そのへんに転がっている「平凡な寂しさ」を、殊更孤独だ、怖いだ、と大げさに持ち上げて訳知り顔で語る類の人間を、私はとても滑稽だと思いながら生きてきた。 本当の孤独なんて知らないくせに、本当らしく孤独を語る人がいる。そんな人が、これまでの私の人