戦後最高値(1ドル=75円95銭)を前週末に付けた円相場は今週も70円台後半の高値圏で推移し、記録的な円高が続く。しかし、通貨の実力を測る実質実効為替レートでみると、「歴史的な円高水準」とまでは言えない実態も浮かび、市場では「イメージほど輸出企業への打撃は大きくない」との指摘もある。それでもアジア勢との競争にさらされる日本の輸出企業にとっては、実効レートの「恩恵」などはなく、悲鳴は消えない。【谷川貴史】 円の総合的評価の尺度となるのが、実質実効為替レート。特定通貨ではなく、主要通貨全体に対する円の価値を表す。各国との貿易実態なども踏まえて算出され、日本の貿易財の国際競争力を示す指標とされている。 国際決済銀行によると、1ドル=80円割れという歴史的な円高水準が定着した7月の実質実効為替レートは05年を100とすると101・47。数字が大きいほど円高を示すが、前年同月の102・83よりやや円