「営業の魔術師」と呼べる人に会ったことがある。今回はそのうちの一人のことから書いてみたい。 その人はかつても今も、保険営業でトップクラスの成績を上げている。日本のみならず、世界ナンバーワンになったこともある。しかも何度もだ。もともとIT(情報技術)企業で営業をしていたのに、なぜか30歳のときに一念発起して保険の営業に転じたそうだ。 彼はテレビにも雑誌にも一切出ていないし、講演も執筆もしない。このため一般には無名の存在である。 ある人の紹介で、私はその方にお会いできた。2年ほど前のことである。会った場所は東京のとある高級ホテル、ロビーで待ち合わせた。私は少し早めの時間に行き、ソファに座って待っていた。 私は少し緊張していた。なにしろ世界一という称号を持っている人と会うからだ。 彼は待ち合わせ時間の1分ほど前に現れた。中肉中背、屈託のない笑顔を見せる、どちらかというと人懐っこい感じの男性だ。身
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