バイクを降りた。もちろんバイクを停めて降りたという話ではない。愛車を売却したのだ。もう私はバイクを1台も持っていない。 昔、横浜でボスと呼ばれた人物が「世の中には二種類の人間しかいない。バイクに乗る奴と、乗らない奴だ」と言ったそうだ。自動二輪の免許をとった頃にバイク仲間からこの言葉を聞いた。当時はカッコイイと思ったが、自分が後者になる日が来るとはそのときは全然思わなかった。 バイクを売ろうと思ったのには大きく二つ理由があった。一つは昨年久しぶりに立ちごけをしてしまったこと。二つめは私の R100GS という西ドイツだった頃のBMW製のOHVのエンジンのオイル滲みがひどくなって大幅な修理が必要になってしまったことだ。 バイクにまたがって停車していて車体を倒してしまうことをバイク乗りは「立ちごけ」というが、昨年の立ちごけは二十年ぶりくらいだった。明かりのない、右下がりの傾斜地だったので仕方なか