4月末、北京の天安門広場にほど近い高層ビルの1階。中国の電気自動車(EV)メーカー、蔚来(ウェイライ)汽車の販売店で、平日にもかかわらず20人ほどの中国人が1台のSUV(スポーツ用多目的車)に熱い視線を送っていた。新興メーカーの蔚来が初めて世に問うEVの新車「es8」だ。 蔚来は中国のIT大手、騰訊(テンセント)などから出資を受けて2014年12月に上海市で設立された。資金力を強みに、通常は開発に4~5年はかかる新型車を創業から3年足らずでつくってみせた。 驚くのは開発スピードだけではない。フル充電で走れる航続距離は最大約500キロ。日産自動車のEV「リーフ」の400キロを上回る。価格は44万8千元(約760万円)から。地場メーカーのガソリン車より高額だが、販売店を訪ねた女性(32)は「(米国から輸入する)テスラは関税がかかって100万元(約1700万円)近くする。それと比べれば安い」と購