広島の土砂災害で最も大きな被害に見舞われた安佐(あさ)南区八木地区が、崖崩れの多発地帯を表す「蛇」や「悪」のつく地名だったと言われています。日本の地名の多くは過去の災害を伝え、後世に警鐘を鳴らすサインですが、時代とともに消えつつあることも事実です。現代の私たちは先人のメッセージをどう受け止めるべきでしょうか。 ■「蛇落地(じゃらくち)」が「上楽地」に? 八木地区がかつて「八木蛇落地悪谷(やぎじゃらくじあしだに)」と呼ばれていたことは、災害発生から約1週間後の8月26日、フジテレビの情報番組「とくダネ!」が伝えて反響を呼びました。 番組で住職が証言していた地元の浄楽寺に確認すると、13年前に亡くなった前住職の桐原慈孝さんが、山にすんでいた大蛇の首を戦国時代の八木城主が刀で切り落として退治したという「蛇落地伝説」を語り継ぎ、1976(昭和51)年に八木小学校の創立100周年記念誌に書き残したそ