C・ノーラン監督の「オッペンハイマー」は、真夏公開の大作としては異彩を放つ存在だ/COURTESY OF UNIVERSAL PICTURES (CNN) 今や人の生涯の2、3回分にも思われる年月にわたり、米国映画は各メディアから農産物や家電品、あるいは食洗機用の洗剤のように評価されてきた。物語と(何にもまして)人物の形成におけるニュアンスや複雑さは脇へのけるか、評論家に任せがちになる。好んで扱うのは世間を騒がせる要素と、1分間に何度スリルを味わえるかという目安、そしてもちろん企業が作品に投じた金額だ。出来上がった素晴らしい作品がそうした投資に見合う大金をもたらしてくれる場合でさえ、もう十分という話には決してならない。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の後であればなおさらだ。複合型映画館やその他の映画館主はそれによってほとんど壊滅的とも言える影響を被った。 事情は理解する。最