利用期を迎える国産材を活用して林業の成長産業化に導くにはどのような取り組みが求められているのか。林材ライターの赤堀楠雄氏が地域で芽生える国産材活用の事例をルポする。 本連載40回目の稿で、政府がスギ花粉症対策として、花粉の出るスギを減らすための施策を実行することにした――と紹介した。その内容が明らかになってきている。 大まかに言えば、10年後までに全国のスギ人工林を2割程度減らし、それに伴って増産されるスギ材の利用を確保するために需要を喚起する措置を講じる、というものだ。果たしてその効果はどうか。 スギがだぶつくのが心配になる 現在の木材市況は住宅需要が減少し続けていることを受けて芳しくなく、スギやヒノキの売れ行きは低調だ。価格も値下がり傾向で推移している。北信越のあるスギ製材業者に最近の仕事の状況はどうかと尋ねると、彼は「よくないなあ」とぼやき、「だって家が建たないでしょ」と付け加えた。