■スティーヴン・キング「これは地獄の“スタンド・バイ・ミー”だよ」 ――主人公のフィニ―を黒電話で助ける幽霊ボーイズが、少年なら誰しも「憧れ」や「尊敬」を抱く魅力的なキャラクターだったのも、素晴らしい翻訳だと思いました。彼らに具体的なモデルはいますか? デリクソン監督:原作に出てくるブルース・ヤマダを除けば、僕の少年時代の友人・知人がモデルだよ。僕はノース・デンバーで育ち、白人とメキシコ人が半々の割合で暮らす地区に住んでいた。日本人の子どもも一人いたね。ほとんど交流はなかったけど。フィニ―に戦い方を教えるロビンは、僕に精神的な支えをくれた親友がモデルだ。不良のヴァンスや、新聞配達の少年もそうだ。映画の舞台を1970年代に設定したのも、子どもの僕が感じた当時のノース・デンバーを伝えたかったからだ。物悲しく、薄気味悪くて、どこか敬虔(けいけん)な空気が漂っていた時代をね。 映画『ブラック・フォ