福岡県東部の京築地区沿岸でとれる「豊前本ガニ」(ワタリガニ)の漁獲量の回復に向け、地元の漁協が、網にかかったカニのうち抱卵したメスの甲羅に油性ペンで「とるな」と手書きし、海に戻している。 豊前本ガニは甘みがあり、1キロ3000~4000円の高値で取引される。年間400トン近くあった漁獲量は2003年に約130トンに減少。春から秋にかけて抱卵するメスをとったのが一因とみられ、翌年から地元の6漁協がメスの甲羅に書き込みを始めた。漁獲量はここ2、3年、約260トンに回復してきたという。 北九州市小倉南区の曽根干潟沖では、曽根漁協の恵良義一さん(50)が、カニがかかった定置網の位置や通し番号を書き添えて海へ戻した。今季の6漁協の書き込み目標は6400匹。恵良さんは「直接書いているので訴えが伝わりやすい。地道に続ければ、少しずつ漁獲量が増えるでしょう」と話した。