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  • ヤクザに非常識と言われた男が書く『喰うか喰われるか 私の山口組体験』 - HONZ

    いまから15年ほど前のこと、「週刊現代」編集部に戻って、まっさきに執筆を依頼したのが溝口敦さんだった。そのときの様子を、溝口さんは自伝的ノンフィクション『喰うか喰われるか 私の山口組体験』(5月13日刊、講談社)でこう書いている。 二〇〇六年三月、講談社の加藤晴之さんに会ったとき、彼から「細木数子について四回くらい連載できないか」といわれた。彼はこの年の二月、「週刊現代」の編集長に就いたばかりだった。 細木数子に特別関心があるわけではなかった。何か目障りな女がいるなぐらいの認識で、テレビで彼女が登場する番組に出合うと、チャンネルを替えていた。彼女を見る気がしなかったのだ。 当時の細木数子は、自ら考案したという占星術と、「地獄に落ちるわよ」「あんた死ぬわよ」など啖呵売のような喋りで人気者となり「視聴率の女王」の異名をとるテレビタレントだった。だが業界筋では、陽明学者で政界のご意見番・安岡正篤

    ヤクザに非常識と言われた男が書く『喰うか喰われるか 私の山口組体験』 - HONZ
    machida77
    machida77 2021/06/24
    内容はもっぱら溝口敦が記事にした細木数子の件。
  • 『保身 積水ハウス、クーデターの深層』変われないこの国を描く骨太の経済ルポ - HONZ

    読み終えた途端、深いため息が出た。かつて「全員悪人」というキャッチコピーの映画があったが、さしずめ書は「登場人物、全員小物」といったところだ。だが、小物ばかり出てくるのにページをめくる手が止まらない。それはこの小物が私の中にも棲んでいるからかもしれない。このにはまぎれもなく私たちの姿が描かれている。 そのクーデターが起きたのは、2018年1月24日のことだった。住宅メーカーのリーディングカンパニー積水ハウスの取締役会で、会長職にあった和田勇が、社長の阿部俊則が提出した動議によって事実上の解任に追い込まれたのだ。 これは実に奇妙なクーデターだった。取締役会に先立つ2017年6月、積水ハウスは地面師詐欺に遭い、55億5900万円を騙し取られていた。事件をきっかけに立ち上げられた調査対策委員会は、経緯をつぶさに検証した結果、来「騙されるはずがなかった事件」だとして、社長の阿部に経営上の重い

    『保身 積水ハウス、クーデターの深層』変われないこの国を描く骨太の経済ルポ - HONZ
  • 『WAYFINDING 道を見つける力: 人類はナビゲーションで進化した』使わないには、失うには、惜しすぎる - HONZ

    『WAYFINDING 道を見つける力: 人類はナビゲーションで進化した』使わないには、失うには、惜しすぎる 北極圏は氷と雪と岩ばかりの地表である。季節ごとに雪が積もり、氷が溶け、景色は移ろいでいく。イヌイットはその中から場所を特定する手がかりを見つけ、獲物を探し、そして迷うことなく家に戻る。アボリジナルがオーストラリア大陸の広大な砂漠を横断するために実践するナビゲーションの技は、祖先たちの足跡を刻む曲がりくねった道を参照にすることだ。太平洋諸島のカヌー乗りたちは天体に輝く星、太陽、月の位置と波を感じ取りながら、航路を調整する。 彼らのような先住民は動物に近く、それゆえに無意識の直感(第六感)により道を見つけられると考えられてきた。そして西洋人は進化することでその力を失った。長きにわたって一つの学説として支持されてきた。しかし、それはまったくの思い違いだった。 19世紀までに、西洋の人々は

    『WAYFINDING 道を見つける力: 人類はナビゲーションで進化した』使わないには、失うには、惜しすぎる - HONZ
  • 『アルツハイマー征服』圧倒的な取材力と筆力で読ませるサイエンス・ノンフィクション! - HONZ

    書のプロローグは、「青森のりんごの形が良いのは、季節ごとに、こまめに手当てをするからだ」という、青森在住のわたしにとっては、不意を突かれる一文ではじまります。 なぜ、アルツハイマーので、青森のりんごなのか? その理由はすぐにわかりました。青森には、家族性アルツハイマーの大きな一族があるというのです。長身で美男美女の多いその一族は、おそらくは結婚相手に困ることはなかったのでしょう、よく繁栄したといいます。しかしどういうわけか、四十代、五十代になると、おかしなことが起こる。二戸陽子さん(仮名だそうです)の身にも、それが起こります。四十歳になる頃からりんごの作業ができなくなり、やがて、りんごの収穫期に、りんごの実ではなく、葉っぱを摘んで持ち帰るようになる。すると一族の人たちは、こうささやきあったそうです。「これはまきがきたのかもしれない」 ここでわたしはまたしても、ドキッとしました。「まき」

    『アルツハイマー征服』圧倒的な取材力と筆力で読ませるサイエンス・ノンフィクション! - HONZ
  • 『宇宙考古学の冒険 古代遺跡は人工衛星で探し出せ』最新技術と地道な発掘の組み合わせが起こす革命 - HONZ

    「あなたがカッコいいと思う人物は?」と聞かれたら、迷うことなく漫画『MASTERキートン』の主人公、平賀=キートン・太一の名前を挙げる。キートンは、軍の特殊部隊で身につけた技術をもとに、危険を伴う保険調査員の仕事をこなしながら、考古学者になる夢を持ち続けている。物語のクライマックスで、たったひとり発掘作業に臨むキートンは当にカッコいい。たとえひとりきりだろうと、情熱に突き動かされるまま、彼は黙々と大地を掘り返すのだ。 考古学への情熱では書の著者も負けていない。子どもの頃、映画『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』を観てインディ・ジョーンズに魅せられて以来、その熱が衰えたことはないという彼女は、新しい研究分野「宇宙考古学」の第一人者でもある。 「衛星考古学」や「衛星リモートセンシング」とも呼ばれる宇宙考古学は、人工衛星などで取得したデータを解析し、地中に埋もれている人工物を見つけ出す最先

    『宇宙考古学の冒険 古代遺跡は人工衛星で探し出せ』最新技術と地道な発掘の組み合わせが起こす革命 - HONZ
  • 『剱岳—線の記』古代日本のファーストクライマーを探せ! - HONZ

    新田次郎の『劒岳〈点の記〉』は、日露戦争直後の1907(明治40)年、前人未到とされ、また決して登ってはいけない山と恐れられていた北アルプスの剱岳(標高2999m)の登頂に挑んだ測量官を描いた山岳小説の傑作である。 物語は、設立間もない日山岳会との初登頂争いの形をとりながら進んで行く。 実際はこの登攀争いはフィクションらしいのだが、剱岳が当時、未踏峰とされていたのは事実だ。そして、日陸軍参謀部陸地測量部の柴崎芳太郎率いる測量隊が命がけの登頂に臨み、見事成功した。 ところが、彼らはそこで信じがたいものを目撃した。 山頂で彼らは、古代(奈良〜平安時代)の仏具を発見したのだ。 置かれていたのは、錫杖頭と鉄剣だった。錫杖頭とは、杖の頭部につける金属製の仏具である。振ると円環が触れ合って音が出る。山中で修行する山伏が携行しているものだ。柴崎隊よりもはるか昔に、剱岳の山頂にたどり着いていた者がい

    『剱岳—線の記』古代日本のファーストクライマーを探せ! - HONZ
    machida77
    machida77 2020/10/06
    明治40年の剱岳登頂隊が発見した山岳信仰の痕跡を追うノンフィクション。
  • 新型コロナウィルスだけじゃない、伝染病のノンフィクションを読んでみよう! - HONZ

    このの発売時に、まさか世の中がパンデミックの恐怖にさらされているとは、製作者は誰も思ってなかっただろう。しかし、感染症の歴史のアウトラインを知りたいという人にはぴったり。かなり重いので持ち運びはできないけど。 以前、「ミステリマガジン」の医療小説特集の折、感染症のノンフィクション一覧を書かせてもらいました。10年ほど前ですが、いま読み直してみても、歴史的に価値のある作品ばかりです。絶版になっているものが多いのですが、興味のある方は探してみてください。 日は海に囲まれて、いわば離れ小島のような存在だから、かつて歴史上で世界的な流行をした伝染病も、外からの災いであるという受け止め方をしていた。毎年騒がれている鳥インフルエンザにしても、今回の新型インフルエンザにしても、あるいはエイズ、ペスト、コレラもそうであった。 しかし、ヨーロッパはそうはいかない。中央アジア奥地にしてもアフリカにしても、

    新型コロナウィルスだけじゃない、伝染病のノンフィクションを読んでみよう! - HONZ
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    machida77 2020/03/02
    品切れが多い
  • 『孤塁』初めて語られた双葉郡消防士たちの「あの日」 - HONZ

    あの日、あなたはどこで何をしていただろうか。 2011年3月11日、福島県双葉郡では、多くの学校で卒業式が執り行われた。子どもたちは通い慣れた校舎に名残惜しさを感じながら、未来への希望に胸を膨らませていたに違いない。だが14時46分、巨大地震がこの地を襲った。 書は、双葉郡の消防士たちが初めて「あの日」について語ったノンフィクションである。震災について書かれた多くのノンフィクションの中でも出色の一冊だ。 書の優れている点。それはプロフェッショナルの証言に基づいているところだ。私たちは現実を見ているようで、案外見ていない。事故現場の取材で目撃者に話を訊くと、「とにかく驚いた」とか「ドカーンと音がして気がついたら倒れていた」とか、目の前で起きたことを描写するのではなく、単なる感想や擬音で雰囲気だけを伝えるケースがよくある。無理もない。私たち素人は、想定外の出来事を前にすると動転してしまうの

    『孤塁』初めて語られた双葉郡消防士たちの「あの日」 - HONZ
  • 日本の科学は失速状態 『誰が科学を殺すのか 科学技術立国「崩壊」の衝撃』 - HONZ

    の科学は失速している。一昨年の3月、ネイチャー誌に掲載されたレポートは大きな反響を呼んだ。一般の人たちには驚きを持って迎えられたようだが、多くの研究者にとっては、やはりそうかという感じであった。 『誰が科学を殺すのか』は、企業の「失われた10年」、「選択と集中」でゆがむ大学、「改革病」の源流を探る、海外の潮流、の4章から構成されている。毎日新聞に掲載された「幻の科学技術立国」シリーズが元になっただ。 大学に関しては、行きすぎた選択と集中、地方国立大学の疲弊、若手研究者の待遇の悪さ、博士課程進学者減少などが紹介されており、内部で実感していることと完全に一致する。 どのテーマについても、客観的かつ冷静な記述と考察がなされている。わかっているにもかかわらずマスコミがなかなか書かなかったiPS細胞関連予算の問題点についても、果敢に踏み込んでしっかりと書かれている。 ネイチャー誌の記事以来、論

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    machida77
    machida77 2019/12/13
  • 天才プログラマーにして闇社会の帝王、超大金持ちにしてドケチ。その男の名はル・ルー。ドラマ化決定の『魔王: 奸智と暴力のサイバー犯罪帝国を築いた男』は超弩級のノンフィクションだ! - HONZ

    天才プログラマーにして闇社会の帝王、超大金持ちにしてドケチ。その男の名はル・ルー。ドラマ化決定の『魔王: 奸智と暴力のサイバー犯罪帝国を築いた男』は超弩級のノンフィクションだ! 海賊が跋扈するため、ソマリア沖ではマグロ漁ができなくなっていた。そこで漁をすれば一網打尽、一攫千金だ。しかし、そのためにはロジスティクスも安全も確保しなければならない。巨額の資金による、飛行場付き、傭兵が警護する完全武装の漁業基地建設が始まった。 全米で多くの医師や薬剤師がオンライン薬局での処方薬販売にかかわっていた。違法ぎりぎりの取引に気づいた麻薬捜査官による捜査が始まった。巧妙に操作されたインターネットサイトの裏側で、たったひとつの会社、RX社が巨額の取引を仕切っていた。 腐乱死体を乗せた難破ヨットがトンガの環礁で見つかった。当局が捜査したところ、その船室の壁には末端価格は9000万ドル以上にもなるコカインの塊

    天才プログラマーにして闇社会の帝王、超大金持ちにしてドケチ。その男の名はル・ルー。ドラマ化決定の『魔王: 奸智と暴力のサイバー犯罪帝国を築いた男』は超弩級のノンフィクションだ! - HONZ
  • 『亜細亜熱帯怪談』前代未聞の新ジャンル!現代アジア怪談ルポルタージュの誕生 - HONZ

    見慣れた世界地図を、ちょっと視点を変えて色分けしてみると、思いも寄らない姿が浮かび上がってくることがある。たとえば「民主化」の度合いや「女性の社会進出」の進み具合で色分けすれば、欧米を中心にした国々を濃く塗りつぶすことになるだろうし、「政治的自由」の制限などを切り口にすれば、また違った国がクローズアップされるだろう。 では「霊」はどうだろうか? いや、唐突かもしれないが、別にふざけているわけではない。 霊とは文字どおり「心霊」や「幽霊」、「霊魂」や「精霊」のことである。 もしも、目に見えない「霊的なものへの感性」で世界地図を色分けしてみたら? おそらく東南アジア一帯は、色濃く塗りつぶされて浮かび上がってくるはずだ。 書はタイを中心に東南アジア一帯の怪談を集めたいっぷう変わったルポルタージュである。著者はもともと死体に興味があり、博物館に死体を見に行ったり、インドまで足を運び、ガンジス河の

    『亜細亜熱帯怪談』前代未聞の新ジャンル!現代アジア怪談ルポルタージュの誕生 - HONZ
  • 『史上最恐の人喰い虎――436人を殺害したベンガルトラと伝説のハンター』悲しき猛獣は、なぜ生まれたか?  - HONZ

    『史上最恐の人喰い虎――436人を殺害したベンガルトラと伝説のハンター』悲しき猛獣は、なぜ生まれたか? 動物が人間を襲った事例でよく知られているのは、大正4(1915)年に北海道三毛別で起きたヒグマ襲撃事件だろう。これは8人が犠牲になった悲劇として語り継がれるが、それとほぼ同じ頃、ネパールとインドの国境地帯で人々を恐怖に陥れていた動物がいた。それが、チャンパーワットの人喰い虎――436人を殺害したとされる雌のベンガルトラである。 書はそのベンガルトラの足跡を追い、ジム・コーベットという伝説のハンターとの対決を描いた記録である。また、トラが人喰いへと追いやられていった背景を丹念に検証した、社会派ノンフィクションの顔も併せもっている。 だが、436人という数は、にわかには信じ難い。なぜこれほどの犠牲者を生んだのかという疑問はひとまず置いて、まず、トラという動物について少し学んでおこう。 トラ

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  • 『月下の犯罪』名門一族の秘められた罪をめぐる極私的ノンフィクション - HONZ

    「180人のユダヤ人を虐殺したのは、私の大叔母だったのだろうか…」 そんな帯の文句に惹かれて書を手に取った。 1945年3月24日の晩、オーストリア国境近くの村レヒニッツにあるバッチャーニ家の居城で、ナチとその軍属のためのパーティーが開かれていた。月が明るい晩だった。この時、駅には200人近いユダヤ人たちが立たされていた。彼らは対赤軍用の防護壁を築くためにハンガリーから連れてこられた強制労働者たちだった。 夜9時半、彼らはトラックに乗せられどこかへ運ばれた後、4人の突撃隊(SA)に引き渡された。SAはユダヤ人たちにショベルを渡すと、L字型の穴を掘るよう命じた。疲れ切ったユダヤ人たちが固い土を掘っている時、城の電話が鳴った。電話を受けた親衛隊上級曹長のフランツ・ポデツィンは「いまいましいブタどもめ」と吐き捨てると、部下にパーティーの参加者を連れてくるように命じた。そしてこう告げたのだ。「駅

    『月下の犯罪』名門一族の秘められた罪をめぐる極私的ノンフィクション - HONZ
  • 祝 復刊!!『戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌』 - HONZ

    書の単行が出版されたのは2006年の年末のことだ。出版社は、今は無き新人物往来社。当時、屋をめぐって新刊を探していた時に、棚から私を誘ってきただった。 タイトルを見た瞬間に気持ちが鷲づかみにされた。「ツガルソトサングンシ」と読むこの文書の話を私が初めて聞いたのはずいぶん前のことだ。「青森の旧家から見つかった、大和朝廷に対抗した豪族の記録」で、当時から真偽が問われていると聞いていた。「東日流外三郡誌』はその旧家から見つかった膨大な和田家文書の一部であると言われた。 嘘かもしれないと言われても、書かれていた歴史がものすごく面白かった。少し長いが編より引く。 はるか昔、津軽地方には大陸をルーツとする阿蘇辺族が居住。そこに津保化族と呼ばれる人々が渡来し、土器や竪穴式住居など縄文人独特の生活スタイルをつくり上げた。その後、岩木山の噴火によって阿蘇辺族王国が滅亡し、津保化族王国に統合されるこ

    祝 復刊!!『戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌』 - HONZ
    machida77
    machida77 2019/05/16
    前の文庫が出たのは2009年か
  • 何でも治ることを売りにした最悪の治療法の歴史──『世にも危険な医療の世界史』 - HONZ

    現代でもインチキ医療、危険な医療はいくらでも見つけることができるが、過去の医療の多くは現代の比ではなくに危険で、同時に無理解の上に成り立っていた! 書『世にも危険な医療の世界史』はそんな危険な医療史を、元素(水銀、ヒ素、金など)、植物と土(アヘン、タバコ、コカインなど)、器具(瀉血、ロボトミー、浣腸など)、動物(ヒル、人、セックスなど)、神秘的な力(電気、動物磁気、ローヤルタッチ)の五種に分類して、語り倒した一冊である。 実のところ、このは何でも治ることを売りにした最悪の治療法の歴史を、簡潔にまとめたものだ。言うまでもなく、「最悪の治療法」は今後も生み出されるだろう。 単なる事例集にすぎないともいえるのだが、それでダレるということもなく、出てくる例があまりにもトンデモでひどいことをやっているのでなんじゃこりゃ! と笑って驚いているうちにあっという間に読み終わってしまう。たとえば、ペス

    何でも治ることを売りにした最悪の治療法の歴史──『世にも危険な医療の世界史』 - HONZ
  • 『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』を買ったのは、どういう人たちなのか? - HONZ

    作者:ハンス・ロスリング 翻訳:上杉 周作、関 美和 出版社:日経BP社 発売日:2019-01-11 今年は暦の関係から年末年始休暇が長かったため、休み明けの現実復帰が難しかった…という方も多いのではないでしょうか。出版市場の1月はちょっと停滞気味ですが、そんな中、ビジネス書売場は活気に満ちているようです。(ということは、多くの人がやる気に満ちてるということか…やる気が出てないの私だけ?) 新刊、ロングセラーがしのぎを削るビジネス書ジャンルに注目の新刊が登場しました。それが『FACTFULNESS』。発売と同時にメディアやSNSで取り上げられ、すでに大ブレイクの兆しを見せています。 『FACTFULUNESS』はすでにHONZでもレビューされ話題となっているので、内容の詳細はそちらに譲りましょう。簡単に説明すると、FACTFULUNESSとは「データや事実(ファクト)に基づいて、世界を読

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    machida77
    machida77 2019/01/28
  • 『生き残る判断 生き残れない行動』知識も準備も経験も、危機を察知できてこそ活きる - HONZ

    書は災害復興についてのではない。災害の最中にーー警察や消防士たちが到着する前に、レインコートを着た記者たちがやってくる前に、惨事に対する何らかの見方が押しつけられる前にーー何が起こるのかについて述べたである」 災害・テロ・事件・事故。もしもの時の、とっさの判断が書のテーマである。有事に何をすべきかを並べたマニュアル的な内容ではない。なぜ、人は非常時に誤った判断をしてしまうのか。その背景には、人がそもそも持っている、どのような思考のクセが影響しているのか。そんな根から考えていくスタンスが特徴だ。さまざまな惨事から生き延びた人々へのインタビューに加え、社会学者、心理学者、脳科学者、神経科医、テロ対策専門家、警察官、消防士など幅広く意見を求めて得た知見を、まったく他人事に思えないエピソードの数々を通して伝えてくれる。 非常事態にまず起こりがちなこととして挙げられるのが「否認」である。

    『生き残る判断 生き残れない行動』知識も準備も経験も、危機を察知できてこそ活きる - HONZ
  • 『文藝春秋作家原稿流出始末記』この原稿は”だれ”の”なんという作品”なのか?! - HONZ

    昭和42、3年ごろ、文藝春秋社が文芸雑誌で使用した原稿を大量廃棄処分したことがあった。 社名入りの茶封筒に入れられた大量の原稿は、ある古紙問屋に持ち込まれた。その問屋へ毎日通い、や雑誌を探す“建場廻り”(注:建場は業者がその日に集めた廃品を買い取る問屋。古業界用語)のK書店が発見し買い取った。専門外のK書店は、近代文学などを得意とするU堂へ連絡。すぐに来訪したU堂は選別したのち大金を払った。残りはK書店の倉庫に残された。 その直後、池袋西武百貨店で開かれた古書販売会の目録に人気作家の草稿が大量に出品された。この時、著者の青木正美さんが買い求めたのは安部公房『砂の女』(当時のタイトルは「チチンデラ・ヤパナ」)の草稿56枚。落札金額は112,000円であった。 これが『文藝春秋作家原稿流出始末記』の前段だ。その後、文藝春秋社の責任ある肩書の人から買い戻したいと申し出があるも断り、この原稿は

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    machida77
    machida77 2019/01/16
    昭和40年代に文藝春秋から流出した首なし原稿をめぐる顛末
  • アメリカ特殊部隊の戦い方を変えた『ドローン情報戦』 - HONZ

    アメリカ陸軍には「デルタフォース」という対テロ特殊部隊が存在する。アメリカのIS掃討作戦の最前線で戦っているのもこの部隊であり、陸軍の最強特殊部隊だ。 秘匿性が高く、その実態はベールにつつまれていたが、同部隊に所属していた元情報分析官による書によって、その最先端の戦い方が明るみになった。無人航空機、通称ドローンが同部隊の情報収集及び攻撃に多大な貢献をしていたのだ。 アメリカ空軍などがドローンを活用していることは既に広く知られているが、特殊部隊がここまで作戦上ドローンを重宝していたとは驚きの事実だ。書は、アメリカ陸軍特殊部隊のドローン戦略最前線、現代版の戦闘を知る上で一級の資料といえよう。出版前にアメリカ軍の検閲にかかったようだが、実際に実行したドローン作戦については削られることなく出版に至っている。 一般的には敵地爆撃や出撃隊の後方援助などにドローンが使われることが多いが、特殊部隊は攻

    アメリカ特殊部隊の戦い方を変えた『ドローン情報戦』 - HONZ
    machida77
    machida77 2019/01/16
    デルタフォースの情報分析官だった人物によるドローンを使った戦争の事例
  • 『地面師』積水ハウスはなぜ55億円を騙し取られたのか - HONZ

    2016年10月、東京・新橋の歓楽街の一角。資産家の女性の白骨遺体が発見された。自宅と隣家のせまい隙間に、うつぶせに倒れていた。これだけでも十分きな臭いが、驚くべきことに彼女の土地は何者かによって転売されていた。 地主になりすまして、不動産をだましとる「地面師」の存在は古くて新しい。戦後の混乱期やバブル期に暗躍し、アベノミクスで沸くここ数年、再びうごめき始めた。書では、冒頭で触れた、新橋の地主怪死事件を含む6つの詐欺事件の真相に迫っている。 55億5000万円。大手住宅メーカー・積水ハウスの五反田の土地取引での被害額だ。今夏に会社が発表、刑事告訴したことで10月以降、詐欺師達が続々逮捕されている。 立地の良い土地に目をつけ、地主になりすます。書類を偽造し、不動産業者や開発業者に土地を売り払い、金を受け取る。積水ハウス事件は典型的な地面師事件だったが、多くの者は思っただろう。不動産のプロの

    『地面師』積水ハウスはなぜ55億円を騙し取られたのか - HONZ